トランプ大統領の誕生が世界に衝撃を与えている。日米安保やTPPの行方が懸念されるが、トランプ氏の税制改革プランもわが国にとっては大きな脅威になりうる。その柱は連邦政府の個人所得税の最高税率を33%(現行39.6%)、法人税率を15%(現行35%)へ引き下げることにある。日本は2016年度税制改正で国の法人税率が約23%(地方と合わせた実効税率は29%台)となっているが、トランプ税制の法人税率はこれを大きく下回る。日米の法人税率格差は米国企業に対する日本企業の競争力や両国間での投資の流れなどに大きく影響することが予想される。経済のグローバル化とともに顕著になってきた国家間での法人税率引き下げ競争が激しさを増しそうだ。
むろん、この税制プランがそのまま実行されるかどうかは定かでない。米国の税政策センターの試算によれば、トランプ税制による連邦税収減は今後10年間で6.2兆ドルに上る(うち、法人課税の減収分が4分の3を占める)一方、所得税減税の恩恵の多くは富裕層に偏るとされる。実現には政治的・財政的なハードルが高そうだ。とはいえ、米国が法人減税に舵を切るならば、多国籍企業による租税回避への対策など、法人税をめぐる国際協調は尊重しつつも、新たな現実に対して日本も対応を迫られることになろう。
具体的には法人税率の一層の引き下げである。法人減税には大企業の内部留保を増やすだけとの批判があるが、ベンチャー企業の育成や海外からの投資誘致の視点も必要だ。わが国では税率の引き下げと合わせ、繰越欠損金の制限や租税特別措置の見直しで課税ベースを拡大し、税収中立を図ってきた。地方法人事業税の外形標準課税の拡充もその一環である。しかし、法人税の枠内での税収中立はいずれ限界が来る。ほかの税目を合わせた税制改革(タックスミックスの見直し)が求められる。
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