日本銀行は9月に「総括的検証」を行い、従来の量的緩和から金利中心の枠組みに切り替え、持久戦の態勢を整えた。当面、政策対応が必要となる場合は1ドル=100円割れの急激な円高と思われていたが、米大統領選挙後のトランプ相場でその懸念はかなり薄れた。そこで今回は相当な先走りを承知で、2%の物価目標が達成された後のことを考えてみたい。
具体的な論点は、量的緩和の「出口」で日銀が被る巨額の赤字(=財政コスト)の処理である。この問題は、近年の準備預金制度の変化につれ紆余曲折をたどってきた。当初は、金利の正常化には大量に買い入れた国債を市場に売却することが必要と考えられていた。このため、長期金利急騰とこれに伴う金融市場の大混乱が心配の種だった。
だが、FRBが超過準備への付利を始め、日銀もそれに倣った結果、この問題は解消した。大量の国債を抱えたままでも、超過準備への付利を引き上げることで、利上げが可能だとわかったからである。実際、昨年末からのFRBの利上げもこの方法で行われている。
すると次には、超過準備への付利に伴う日銀の逆ザヤが問題となった。FRBの場合、買い入れた国債や住宅ローン担保証券の利回りが高かったため、利上げを続けても簡単に逆ザヤになる心配はない。しかし日銀の場合、買った国債の利回りは0.5%以下なので、利上げを始めればすぐに赤字になってしまう。こうして日銀に発生する赤字額は、何人かのエコノミストによる推計が行われており、年間数兆円規模に達することがわかっている。
しかも、日銀の国債買い入れは規模が巨大でかつ期間も長期化しているため、新しい推計が出るごとに赤字額が拡大してきた。マイナス金利導入後はオーバーパー(額面を上回る価格)で国債を買ってきたため、「出口」を待つことなく赤字に陥るリスクさえ指摘されている。年間数兆円の赤字となれば、日銀は簡単に債務超過に陥ってしまうが、政府に資本注入を求めても、赤字の理由が銀行への付利だとなれば、政治的に容認されるとは到底思えない。
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