有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #株式観測

欧米長期金利上昇でもくすぶるリスクシナリオ 円高に消費低迷、国内企業業績に下振れ懸念

3分で読める 有料会員限定
  • 藤戸 則弘 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長

欧米の長期金利が上昇傾向を強めている。トリガーとなったのは、「ECB(欧州中央銀行)がテーパリング(量的緩和策の段階的縮小)」との観測報道だ。

ECBは4次にわたる中銀預金金利の引き下げに加え、毎月800億ユーロずつの資産買い入れを行っている。しかしドイツをはじめ、オランダやフィンランドといった財政健全国の中銀総裁から、「超緩和策やマイナス金利政策の長期化は、効果以上に弊害が増大する」として、見直しを求める意見が相次いでいる。

背景にあるのは、危機的状況の緩和に即した政策変更を行うべきとの考えだ。たとえば、ユーロ圏のCPI(消費者物価指数・総合・前年比)は、2015年1月にはマイナス0.6%とデフレの状況であった。ところが今年9月にはプラス0.4%に浮上し、6月から4カ月連続のプラス推移となっている。

景気のほうも、9月のユーロ圏PMI(購買担当者景気指数・総合)が52.6、同ユーロ圏の新車販売台数は前年比9.4%増と、一般のイメージとは異なって意外なほどしっかりしている。

さらにマイナス金利による欧州金融機関の収益・財務体質の悪化も加わって、ECBは新環境に適応した政策変更を行う可能性が高い。ドイツ10年国債利回りは7月6日にマイナス0.205%の最低利回りを示現したが、足元ではプラス圏に浮上した(図表1)。英10年国債も、同様に1%台に切り返している(10月14日時点)。

[図表1]
拡大する

一方、米国では投資家の利上げ観測が高まっており、フェデラルファンド・レート(短期の政策金利)先物は、12月利上げ確率を6割以上と示唆している。雇用の改善、原油価格の上昇傾向、海外環境の落ち着きを考えると、12月利上げの蓋然性は高まる。

ECBメンバーと同様に、FRB(米国連邦準備制度理事会)でも、緩和策の長期化の弊害を懸念する声が目立ち始めている。米10年国債利回りも、1.8%近辺にまで上昇してきた。リーマンショック後の「ニューノーマル(新常態)」に、変化の兆しが顕在化している。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数