欧米の長期金利が上昇傾向を強めている。トリガーとなったのは、「ECB(欧州中央銀行)がテーパリング(量的緩和策の段階的縮小)」との観測報道だ。
ECBは4次にわたる中銀預金金利の引き下げに加え、毎月800億ユーロずつの資産買い入れを行っている。しかしドイツをはじめ、オランダやフィンランドといった財政健全国の中銀総裁から、「超緩和策やマイナス金利政策の長期化は、効果以上に弊害が増大する」として、見直しを求める意見が相次いでいる。
背景にあるのは、危機的状況の緩和に即した政策変更を行うべきとの考えだ。たとえば、ユーロ圏のCPI(消費者物価指数・総合・前年比)は、2015年1月にはマイナス0.6%とデフレの状況であった。ところが今年9月にはプラス0.4%に浮上し、6月から4カ月連続のプラス推移となっている。
景気のほうも、9月のユーロ圏PMI(購買担当者景気指数・総合)が52.6、同ユーロ圏の新車販売台数は前年比9.4%増と、一般のイメージとは異なって意外なほどしっかりしている。
さらにマイナス金利による欧州金融機関の収益・財務体質の悪化も加わって、ECBは新環境に適応した政策変更を行う可能性が高い。ドイツ10年国債利回りは7月6日にマイナス0.205%の最低利回りを示現したが、足元ではプラス圏に浮上した(図表1)。英10年国債も、同様に1%台に切り返している(10月14日時点)。
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一方、米国では投資家の利上げ観測が高まっており、フェデラルファンド・レート(短期の政策金利)先物は、12月利上げ確率を6割以上と示唆している。雇用の改善、原油価格の上昇傾向、海外環境の落ち着きを考えると、12月利上げの蓋然性は高まる。
ECBメンバーと同様に、FRB(米国連邦準備制度理事会)でも、緩和策の長期化の弊害を懸念する声が目立ち始めている。米10年国債利回りも、1.8%近辺にまで上昇してきた。リーマンショック後の「ニューノーマル(新常態)」に、変化の兆しが顕在化している。
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