第2次安倍晋三政権が発足当初から掲げていた「観光立国戦略」。その開始から3年程度経った現状を見るかぎり、これは「成功」だったといってよい。
2015年の訪日外国人消費額は3兆円を超え、年間訪日旅行者数は2000万人目前に迫った。政府の観光戦略の成功によって、日本株も大きな恩恵を受けた。小売業や訪日外国人から人気の商品を手掛ける製造業など、いわゆるインバウンド関連銘柄が局所的に強い上昇を見せたことは記憶に新しい。
今後の重要な問題は、この流れが「継続するのか否か」という点である。結論としては、インバウンド消費水準は強い状態が継続しそうだが、成長は鈍化するだろう。
首都圏はすでにインバウンド消費が飽和状態にあり、今までのような強い伸びを今後は期待しにくいフェーズに入っている。事実、ここ数年の消費拡大を牽引してきた中国人旅行者による「爆買い」は、少なくとも首都圏(東京)では増加に陰りが見え始めている。
首都圏はすでに飽和感
観光庁は観光統計の中で「世界の訪日外国人が訪問した都道府県」のアンケート調査を実施し、その割合を国ごとに集計している。図にあるのは14年から15年までの訪日中国人旅行者のうち、東京、大阪、京都を訪れた人数割合の変化幅を四半期別に見たものである。
拡大する
これを見るかぎり、東京における訪日中国人の増加率は鈍化しており、今後も強い伸びを期待するのは難しそうだ。一般的に東京を訪れる中国人観光客は買い物目的が多いとされるが、そうした層はある程度取り込みきった可能性が高い。
その反面、大阪への中国人旅行者の増加は著しい。これには、格安航空会社(LCC)の地方就航増加の影響も大きく、関西以西の空港から日本入りした中国人観光客が、近場の大都市である大阪に足を運んだケースも多いと考えられる。
この記事は有料会員限定です
残り 668文字
