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ライフ #開業医がこっそり教える医療のリアル

「腫瘍は残り、脳幹が削られていた…」歴20年以上の40代医師がなぜ? 京大病院の事故に見る、医療という仕事の"2面性"

9分で読める
京都大学医学部附属病院 京大病院
医療事故があった京都大学医学部附属病院(写真:東京スポーツ/アフロ)
  • 松永 正訓 医師・ノンフィクション作家

INDEX

医療という仕事には極端な2面性があって、患者家族からものすごく感謝されることもあれば、逆に強く非難されたりすることがある。

医療の対象は人間の健康であり、また究極的には命ということになる。したがって治療がうまくいけば患者家族の喜びも大きいが、大きな合併症や医療ミスになってしまったときの患者家族の憤りも大きい。

今回は、医師と患者家族の関係を決定的に悪くする医療ミスについて語ってみよう。

患者は50代で日常生活を送れていた

2026年7月、京都大学医学部附属病院脳神経外科で医療事故があった。患者は50代で軽いめまいやふらつきがあった。ただ、普通の日常生活は送れていた。検査の結果、診断は脳腫瘍である。

腫瘍が存在する場所は橋(きょう)と小脳の間。

脳の構造の模式図。京大病院脳神経外科の患者は脳幹の橋と小脳の間に腫瘍があった(画像:Suetsumu Sato/PIXTA)

大脳を支える太い幹を脳幹という。その脳幹の中央にあるのが橋で、橋のすぐ下が延髄である。脳幹は生命の維持にとって最重要な場所だ。心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を調節したり、休むことなく24時間フルパワーで活動している。

小脳というのは、大脳に対して小ぶりな脳組織で運動機能を司る。小脳が侵されると歩けなくなったりする。大脳が運動という指令を出して、小脳がそれを実行するという感じだ。

橋と小脳の間の角の部分を英語の頭文字をとってCPアングルという。頭蓋骨をカポっと外しても見えない場所で、耳の後ろ(=側頭部)から奥へ進んでいくとようやく到達できる難所中の難所だ。

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