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ライフ #開業医がこっそり教える医療のリアル

「腫瘍は残り、脳幹が削られていた…」歴20年以上の40代医師がなぜ? 京大病院の事故に見る、医療という仕事の"2面性"

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京都大学医学部附属病院 京大病院
医療事故があった京都大学医学部附属病院(写真:東京スポーツ/アフロ)
  • 松永 正訓 医師・ノンフィクション作家
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CPアングルにできる脳腫瘍で一番多いのは聴神経腫瘍というもの。それに次ぐのが髄膜腫である。脳の表面を覆っている髄膜が腫瘍化したものだ。ただ、聴神経腫瘍も髄膜腫も良性腫瘍である。

悪性腫瘍(=がん)と良性腫瘍の違いがどこにあるか知っているだろうか。それは、転移するかしないかの違いである。

がんに罹るとなぜ人が亡くなるかというと、転移するからである。転移しなければ、まず死に至ることはない。

脳腫瘍は臨床的に「すべて悪性」

ただし人体の中には例外があって、それが脳腫瘍である。何しろ脳なので、悪性だろうが良性だろうが、頭の中にしこりができれば、脳を圧迫するのでさまざまな症状が出現する。特に橋(脳幹)を圧迫する腫瘍が(たとえ良性でも)巨大化していけば生命が危うくなる。

つまり、脳腫瘍という病気は病理学的に(=顕微鏡で見たときに)良性であろうが悪性であろうが、すべて臨床的に悪性と言える。

CPアングル腫瘍は、そこへアプローチするだけでも難しいと述べたが、腫瘍を摘出すること自体も難しい。

橋(脳幹)からは、脳から出る12本の脳神経のうちの10本が出ている。これを傷付けるとマヒが残る。顔面マヒとか、嚥下障害である。これらの神経を温存するためには細心の注意を払う必要がある。

さらに、いま述べたように脳幹は生命維持にとって最重要なので、正常脳幹を傷つけてはならない。損傷を与えると大きな障害が出る。でも、腫瘍を放置すれば脳幹にダメージがくるので手術が必要なわけだ。

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