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ライフ #開業医がこっそり教える医療のリアル

「腫瘍は残り、脳幹が削られていた…」歴20年以上の40代医師がなぜ? 京大病院の事故に見る、医療という仕事の"2面性"

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京都大学医学部附属病院 京大病院
医療事故があった京都大学医学部附属病院(写真:東京スポーツ/アフロ)
  • 松永 正訓 医師・ノンフィクション作家
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キャリア20年、症例100件というのは、すごいのか、すごくないのか? これはぼくの感覚でいうと、「外科医として脂が乗り切っている」という感じである。最高にメスが切れる腕前だと思う。

さて、その先生が手術を執刀して「腫瘍」をすべて取り切った。ところが手術後に麻酔を覚ましても患者の呼吸が再開しなかった。麻酔からの覚醒が遅れることはまれに経験することであるが、このケースではそれが度を超えていた。

腫瘍は丸ごと残り、正常部分が削り取られていた

手術室内にMRI室があり、そこで患者の脳のMRIを撮影した。すると……腫瘍は術前のまま丸ごと残っており、橋から延髄にかけての正常部分が削り取られていたのだった。

なぜこんなことになってしまったのか。

実は手術中に2回も外科医は術中迅速病理診断をしている。普通の病理診断というのは、摘出した検体をホルマリンで固定してから薄い切片に削り出して、染色して顕微鏡で見る。通常、1週間はかかる。そこで迅速診断である。

外科医が腫瘍を少しだけ「かじった」ときに、その検体を病理室へスタッフが持って走る(エアーシューターで送る病院もあるらしい)。

病理医は、検体を一気に凍らせて、これを薄く切って病理診断する。凍結することを業界では「ゲフリール」という(ドイツ語です)。ホルマリン固定の標本よりも病理診断の精度は落ちるが、良性か悪性かなどの大きな違いは十分に診断可能だ。

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