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ライフ #開業医がこっそり教える医療のリアル

「腫瘍は残り、脳幹が削られていた…」歴20年以上の40代医師がなぜ? 京大病院の事故に見る、医療という仕事の"2面性"

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京都大学医学部附属病院 京大病院
医療事故があった京都大学医学部附属病院(写真:東京スポーツ/アフロ)
  • 松永 正訓 医師・ノンフィクション作家
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みなさんはALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気を聞いたことがあるだろうか。神経が変性して筋力がなくなり、呼吸もできず寝たきりになる神経難病である。最後にできることはまぶたの開閉だけで、これを閉じ込め症候群(Locked-in Syndrome)という。この患者さんは、閉じ込め症候群とほぼ同じではないか。

報道を聞いてみなさんは、なんて痛ましいと思っただろう。でもこの患者さんの今後について考えてみたことがあるだろうか? 

神経組織は再生せず、頭の中には脳腫瘍がそのまま…

脳幹が傷ついたために炎症やむくみはあるはずなので、そういった部分が引いていけば少しは改善するかもしれない。でも、大きな改善は期待できない。

神経組織の特殊性は、ほかの組織と違って再生しないことにある。神経細胞というのは基本的に細胞分裂しないために、元の状態に復元しない。非常に厳しい話だが、この患者さんはずっと寝たきりで人工呼吸器になるのではないだろうか。

その上に大きな問題として、この患者さんの頭の中には脳腫瘍がそのまま残っているという点がある。これをどうするのか?

放置というわけにはいかないから、もう一度手術をしなければならない。患者は手術を受ける気になれるのか? 京大脳神経外科はもう一度手術をする勇気はあるのか。ぼくにはちょっと先が見通せない。

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