有料会員登録
政治・経済・投資 #野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」

AI悪用のサイバー攻撃が急増→「全弾迎撃」は不可能に… 生活インフラを死守するために社会全体が順応すべき"新常識"

6分で読める
サイバー攻撃
AIエージェントを利用して攻撃対象の弱点を探し侵入方法を検討させる手口が増えている(写真:World Image/PIXTA)
2/4 PAGES

AIによって、サイバー攻撃が「専門家による個別的な犯罪」から「大量に自動実行できる犯罪」へと変化し始めている。上述した事例は、問題のほんの始まりであり、これからさらに拡大するおそれを否定できない。

これまでサイバー犯罪は、個々の企業がセキュリティー対策を強化することで対処する問題だと考えられてきた。しかし、AIによって攻撃が高速化・大規模化すると、企業ごとの対策だけでは十分でなくなる。金融機関、通信事業者、政府などが攻撃情報を共有し、被害の拡大を防ぐ体制を整備する必要がある。

この変化は、インターネットの利用を当然としてきた社会のあり方を、根本から再検討する必要性につながる。

インターネットは、安全性の点で極めて問題が多いシステムだ。それは最初からわかっていたのだが、われわれはそれを受け入れて、システムを作り上げてしまった。ここに至って、その危険性が極めて明白な形で現れているのである。「抜け穴を塞ぎ、防御を完全に」と言うだけでは守り切れなくなっている。

最重要システムはインターネットから隔離せよ

こうした状況下で必要なのは、企業の情報システムの抜本的な組み直しだ。すなわち、情報システムのうちインターネットに接続しなければならない部分をはっきりさせ、最も基幹的な部分はインターネットから隔離すべきではないだろうか。

まず、銀行の場合を考えよう。銀行の場合の中枢的なシステムは「勘定系」と呼ばれ、預金残高の管理、貸出金の記録、利息計算などを行う。

勘定系は、インターネットが普及する以前から存在していた。そして、銀行内部のコンピューターと専用通信網によって処理できる。つまり、インターネットなしで運用ができる。

銀行間の資金移動についても、「全銀システム」や「日銀ネット」など、インターネットとは区別された金融機関向けの通信基盤が存在する。したがって、銀行預金を管理する中心的なシステムは、一般のインターネットに直接接続する必要がない。これはサイバーセキュリティーを考えるうえで重要な事実だ。

3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数