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中部電力の原発データ不正を生んだ「独自の正当化理論」という病、高木仁三郎氏が遺した「対抗的専門家」の挑戦

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対抗的専門家の必要性を訴え、自らそれを体現した高木仁三郎氏 (撮影:今井明、高木久仁子氏提供)
【ポイント】
・中電の不正の背景には組織の自己正当化と異論排除がある
・高木仁三郎氏は市民の側に立つ「対抗的専門家」を体現した
・独立した専門知を支え、異論を検証する仕組みが必要だ

「極めて特異な考え方が一部に存在していたこと」

中部電力は9月、浜岡原子力発電所の地震動評価をめぐるデータ不正問題の調査報告書を公表した。外部の調査委員会がまとめた報告書は問題に通底する原因をこう分析し、社内に「独自の正当化理論」が存在していたと明らかにした。

「結果として浜岡原発の安全性に問題はない」「原子力規制委員会の指摘や要請には納得できない」「何としても早期再稼働を実現しなければならない」。こうした理屈を掲げ、原子力部門の担当者たちは「自分たちは正しいことをしている」と、信念を持って不正行為に及んでいた。後ろめたさを感じながらも、やむにやまれず手を染めるという一般的な不祥事の構図とは異なり、深刻さは桁違いだ。

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高度な専門性を持ち、客観的データや科学的知見を重んじるはずの技術者たちがなぜ、確信を持ってデータ不正に手を染めたのか。報告書は、原発再稼働を急ぐ経営層からの圧力も一因とはしている。だが、より強調するのは、高度な専門性による業務のブラックボックス化だ。業務が十数年にわたり少数の担当者に固定され、その担当者たちが独自の正当化理論を共有していれば、評価の妥当性を他部署の人間が検証するのは難しい。

それでも同社には、規制側の立場から検証する「ライン外専門家」が置かれ、この問題に的確な警告を発し続けていた。複数の内部通報もあった。だが担当者たちは最後まで異議を排除し続けた。

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