今回の「エスト ジェノリュクス クリーム」は、「解砕型マイクロファイバー」をクリームに配合している。専用機器を使わず、クリームを肌に塗ることで、肌の上に繊維が広がり、ネットワーク状の膜を形成する。
しかし、ここにも大きな技術的課題があった。それが、「クリームの中に繊維を均一に配合し、塗った後も肌の上で均一に広げる」ことだった。
繊維が肌上で均一に広がらなければ、塗った際に繊維がポロポロと固まり、よれたり、カスのような状態になったりする。
そのため、繊維の組成や配合検討だけではなく、クリームに含まれる油分や保湿成分とのバランスも含め、さまざまな要素を調整しながら開発を進めた。ファインファイバーを入れればよいという単純な話ではなく、クリームとしてのなめらかな使用感と、肌の上で繊維が均一に広がることを両立させる必要があった。
旭化成との技術融合で実現
この「塗る」方式を実現するうえで大きな役割を果たしたのが、旭化成との技術融合だった。花王側から声をかけたという。
今回使われている繊維は、旭化成が「ベンベルグ」の製造で培ってきた技術を応用したセルロースマイクロファイバーである。セルロース由来の繊維を化粧品に適した素材へと仕上げることも、今回の開発のポイントになった。
スキンビューティ第1研究所の北島恵理子さんは、「セルロースに対するベンベルグの製造技術の応用は、旭化成さんだからこそできるもの」だと話す。
一方、花王側には化粧品の処方や肌への応用に関する知見がある。両社が評価と改良を重ねることで、今回の素材と製品が形になった。
もっとも、開発は最初から順調だったわけではない。化粧品に入れる繊維について、どの程度の細さや長さが適しているのかも、開発当初は明確ではなかった。旭化成が素材をつくり、花王がフィードバックする。それを繰り返した。


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