「それを応用したのが、ファインファイバー技術です」と話すのは、花王 スキンビューティ第1研究所 グループリーダーの内田崇志さんだ。
目指したのは、肌の上にごく薄い膜をつくり、うるおいを守る「第二の皮膚」のような存在。そこで着目したのが、「フィルム」ではなく「繊維」だった。
フィルムのように面で覆うのではなく、細い繊維を網目状に重ねることで、繊維と繊維の間に隙間が生まれる。さらに、繊維の網目に美容成分や保湿成分をとどめることもできる。
こうして研究を重ね、2019年に商品化されたのが「バイオミメシス ヴェール」だ。専用ディフューザーから超極細の繊維を吹き付け、肌表面に薄い膜を形成するスキンケアだった。ただし、この段階ではファインファイバーを肌に均一に吹き付けるには、専用のディフューザーが必要だった。
「吹き付ける」から「塗る」へ
「第二の皮膚」を形成する技術として新しい可能性を示す一方、毎日のスキンケアとして考えれば、「誰もが簡単に使える形にする」ことが次の課題になった。
エストでは、専用ディフューザーの販売は2023年6月で終了したが、花王はファインファイバー技術の研究を続けた。専用機器というハードルを下げ、技術そのものをより身近なものにできないか。そこで開発の焦点は、「吹き付ける」から「塗るだけ」で同じ発想を実現する技術へと移っていった。


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