国内製薬大手の第一三共が、2年連続でのリストラに踏み切る。
今回実施するのは「キャリア転進プログラム」で、実質的な希望退職に当たる。対象は日本事業ユニットで営業やマーケティングなどを担う「医薬営業本部」に属する社員。MR(医薬情報担当者)が中心とみられる。10月から社員への通達を開始し、退職日は2027年3月末。募集人数は定めておらず、応募者には割増退職金に加えて転職支援プログラムが提供される。
正式な告知を前にして、すでに会社から社員への打診は始まっているもようだ。プログラムへの応募はあくまで社員の希望に基づくが、実際には“肩叩き”に近いことも行われている。「会社に残留してほしい社員、どちらでもいい社員、退職してほしい社員と、いくつかの区分を設け、特定の区分に当てはまる社員にはこれまでとかけ離れた部署への異動や、転勤などが提示されている」(同社関係者)。
第一三共は25年度にも、MRを含む国内の45歳以上の社員を対象とした「ネクストキャリア支援施策」を実施している。同年度末には、割増退職金など関連費用として83億円が計上された。ただ前回の施策では、「十分に応募者が集まらなかったようだ」(前出とは別の同社関係者)。
「ついにあの第一三共まで」
「ついにあの第一三共まで、リストラに本腰を入れ始めたとは」――。競合他社のあるMRは、第一三共の一連の動きについて、驚きを持って受け止める。製薬業界ではここ数年、苛烈な「MRリストラ」が繰り返されてきたが、その中でも同社は昨年度まで目立ったリストラを実施してこなかったからだ。
第一三共では、グローバルで抗がん剤の「エンハーツ」や「ダトロウェイ」が稼ぐ一方、日本市場では慢性疾患薬が売り上げの上位を占めている。慢性疾患薬の営業には、多数のMRが広範に病院を回る人海戦術的な体制が必要とされてきた。
国内事業の屋台骨は約1400億円を売り上げる抗凝固剤の「リクシアナ」で、約650億円の疼痛治療剤「タリージェ」がこれに続く。エンハーツの売り上げは400億円にも満たない。

ただ、リクシアナの特許は27年頃に切れる見通しで、安価な後発薬の参入が予想される。さらに、「抗がん剤で世界トップ5に入る」という大目標の下、がん領域に経営資源を集中させる構造改革が急スピードで進んでいるところだ。国内でのリストラは、この改革の一環と見るのが妥当だろう。
苦闘の先に「世界の第一三共」は見えるのか。正念場はしばらく続きそうだ。


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