地元では名物社長として知られ、スタッフから「お父さん」と呼ばれる女性社長がいる。埼玉県秩父市にある「ほんとのインド料理とカレーの店」を経営する黒澤みどりさんだ。
秩父の市街地から車で約30分。山並みを望む緑豊かな場所に店はある。決してアクセスのよいところではないにもかかわらず、平日の昼時、駐車場はほぼ満車。扉を開けると、こいのぼりを模したドレスを着た黒澤さんが笑顔で迎えてくれた。
店内には、インドから仕入れた雑貨や装飾、骨董品まで並び、異国の雰囲気を醸し出している。日本のインド料理店ではネパール人が働く店が多いが、 厨房で働くスタッフは全員インド人。 しかも、インドの5つ星ホテル「タージ・レイク・パレス」出身のシェフをはじめ、調理スタッフは全員ホテルでの勤務経験があり、本場一流店の味を提供している。
スタッフからは「お父さん」と呼ばれるほど、家族のような関係を築いている黒澤さん。女性なのになぜ「お父さん」なのか? その原点をたどる。
インドの日常に溶け込んだ20代半ば
黒澤さんは1970年、秩父市生まれ。何事にも臆せず突き進む性格で、高校卒業後は、アンコールワットやギザの3大ピラミッドを見たいとバックパッカーの一人旅に出る。
アジアを中心に20カ国以上を旅する中で、何度かインドにも滞在した。ただ、インドに特別な思いを抱いていたわけではない。
「よくインドに行くと世界観が変わると言うけど、全然変わりませんでしたね」


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