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インド人から「お父さん」と呼ばれる《埼玉の人気カレー屋》の女性社長、彼女が歩んだ"波瀾万丈"な半生

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社長の黒澤さん(写真:筆者撮影)
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日常の様子にも目を配る。仕事中に「家族は元気?」と声をかけ、家族の話題から会話を広げ、日本で楽しく働けているかを気にかけているという。

「経営者としてメンタルのフォローは大切だと思います」と黒澤さんは真剣な表情をのぞかせる。

家族と離れて日本で働いているから、寂しさもある。仕事中、スタッフ同士で衝突することもある。「そうするとお店のパワーもダウンするし、お客さんも来ない。だからみんなには楽しく働いてほしい」

女性なのに「お父さん」と呼ばれるワケ

普段、スタッフとどうコミュニケーションを取り、束ねているのか。「人間対人間ですよ」。黒澤さんの答えはシンプルだ。

ある日の厨房で、コック同士が料理のトッピングをめぐって衝突した。お互いヒートアップするなか、黒澤さんはその様子を黙って見ていた。

その後、2人をそれぞれ自宅に呼び、話を聞いた。

「悔しいよね」「一生懸命やっているの、わかっているよ」「お客様の立場になって考えてくれてありがとう」と気持ちを受け止めた。

するとコックは「社長にわかってもらってよかった」と涙を流し、翌日喧嘩した2人は仲直りした。

「それぞれキャリアがあるから、みんなこだわりがあるの。職人気質は日本もインドも同じですよ。プライドは保つけど機嫌は取っちゃダメ」

時間に正確で、計画的に仕事を進めるインド人スタッフのことを「武士みたい」と言う黒澤さん。スタッフからは「お父さん」と慕われている(写真:筆者撮影)

さらには、ある夜、ヘッドシェフが救急搬送された際に、1時間半かけて病院へ駆けつけた。

「私の顔を見た瞬間、大号泣でした。心細かったんじゃないですか。私は女性だからお母さんと思われるかもしれないですけど、お父さんです。みんな親方みたいに思っていますよ」

先ほど話を聞いたキシャンさんも「社長はピタジー」と言っていた。ヒンディー語で「お父さん」を意味する言葉だ。

家族のように向き合っても、他店の高い給料に誘われ辞めていくスタッフはいる。ところが働いてみると、うまい話ではなかったと気づき、「私が間違っていました。ごめんなさい」と出戻ったスタッフが3人いるという。

取材中も黒澤さんのスマートフォンには1カ月前に辞めた元スタッフから連絡が届いていた。

戻りたいと言われれば受け入れる。その理由を尋ねると「だって、悪い子たちじゃないんですよ。もし路頭に迷ったりしたら、私も嫌じゃないですか」

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