委員らが最も気にかけたのは、住民や関係者への説明が十分行われたかという点だった。「住民から特段の反対意見は出ていないと聞いている」と事務局は述べたが、自治会を通じた説明が中心だったことが判明。「自治会ルート以外にも多様な形で幅広く意見を聞き、地域不安がないように進めてほしい」(森林総合研究所の生物多様性・気候変動研究拠点の石崎涼子室長)との要望が出された。
樹林に生息する動植物について調べたのかどうかの質問に事務局は「開発規模が20ha未満のため県条例に基づく環境アセスメント手続きは不要だが、川越市が自主的にオオタカの営巣地確認と植物調査を行った」と答えたが、地区内に生息する生物種のデータは把握されていないことがわかった。「生物の状況にご配慮いただきたい」(政策研究大学院大学の知花武佳教授)と指摘された。
関連して、生物多様性の保全・向上が世界的に「ネーチャー・ポジティブ」という言葉で語られていることから、埼玉県議会の中屋敷慎一議員は「埼玉県では、土地利用基本計画改定時に『ネーチャー・ポジティブ』を盛り込んだ。当時から私は、言葉が飾りになってはいけないと指摘した」と県の姿勢を問うた。
県側は「1haを超える森林が対象になる林地開発許可の審査はこれからで、そこで環境を悪化させる恐れがないかを含む4要件についてチェックすることになる」と説明し、委員から「慎重な審査」を求める声があがった。
さらに、データセンター特有の問題に着目しての問題提起もあった。駒澤大学法学部の内海麻利教授は、各地でデータセンターを問題視する住民による訴訟が起こされたり、国会で環境影響が取り上げられたりしたことを踏まえ、県としてデータセンター問題にきちんと対応する必要性を強調。「森林地域を縮小してまでデータセンターを立地させることにどのような公益性があると判断したのか。今後、県としてデータセンターをめぐる考え方を整理して対応する必要がある」と述べた。
東京・江東区、データセンターによる環境影響や住民への説明について動き始めた
東京・江東区豊洲で大きな建物の解体が進む現場の壁に、跡地に建てられるデータセンターについての標識「建築計画のお知らせ」が掲示されていた。場所については地番表示と住居表示の双方が書かれ、二方向からみた完成時の建物のイメージ図もある。
江東区は、2025年12月に指導要綱「大規模データセンターに係る建築計画の早期周知について」を制定し、2026年2月に施行した。高さ10mを超え、延床面積が3000㎡を超えるものを対象にしており、建築確認申請を出すタイミングの120日前(約4か月前)には「お知らせ標識」を設置し、説明会を開かなければならない。


※ログイン後、コメント入力が可能です。