ぎょうざの満洲が東明館の運営を始めたのは2010年に遡る。ぎょうざの満洲の創業者であり、相談役を務める金子梅吉さんが東明館の経営者の兄から「廃業するので買い取ってほしい」と相談を受けたことがきっかけだった。
「金子の故郷が老神温泉なんですよね。東明館で毎年中学校の同窓会を開いており、そこで相談を受けました。金子は幼い頃に老神温泉で新聞配達をしていて、その帰りに東明館の温泉にいれてもらっていたそうです。『すばらしい温泉を絶やすわけにはいかない』と考えて、旅館を引き受けることを決めました」
しかし、当時の東明館は昭和の雰囲気が色濃く残る旅館だった。地下1階にある露天風呂は男女混浴だった。客室も傷んでいたため、全面的に改装する必要があった。
金子梅吉さんの著書『3割うまい!!』に当時の改装の様子が書かれている。温泉の湯量を増やすためのボーリング工事、男女の内湯と露天風呂の設置、館内のバリアフリー化などを行ったそうだ。リニューアルにかかる日程は3倍に延び、建築費も予定の3倍以上かかったという。
想定以上の投資が発生した場合、その価格は宿泊費に反映される。しかし、当時の東明館は1泊朝食つきで5900円からのプランを提供していた。
どのようにしてこの価格を実現できたのだろうか。重要な役割を果たしたのが、館内にあるぎょうざの満洲だ。
宿泊価格の抑制に寄与した館内レストラン
なぜ館内にぎょうざの満洲が必要だったのか。その理由は宿泊価格を抑えながら顧客の満足度を向上するためだ。
一般的な旅館と同様に1泊2食つきのプランを提供する場合、宿泊価格は1万円を超える。一方で、夕食をなくした場合、価格は1万円以下に抑えられる。
しかし、夕食をなくした場合、宿泊客は外部の飲食店を利用する必要がある。またトータルでの出費が高くなる可能性もある。これらのデメリットを解消するために考案したのが、館内レストランの設立だった。
「現在の会長である池野谷ひろみが『安くておいしい料理を提供するノウハウがあるのだから、館内にぎょうざの満洲を作ろう』とアイディアを出したんです。たくさん食べる方がいらっしゃっても、1泊2食つきのプランよりは出費を抑えられるだろうと考えました。また、少食の方も自分の食べたい量だけ注文できます。こうした事情から1階の最も日当たりのよい場所に、ぎょうざの満洲を作りました」


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