「チン!するレストラン in FUKUOKA」のオープニングセレモニーに登壇していた山本純子さんに、なぜ冷凍食品は「手抜き」と言われるのかを聞いた。山本さんは、冷凍食品の報道に携わって44年の冷凍食品ジャーナリストで、「冷凍食品エフエフプレス」の編集長。「マツコの知らない世界」にも出演している。
大学卒業から2年目、営業職から冷凍食品新聞社へ転職。当時は「冷凍ピザは便利だな」と思う程度だったという。入社後、冷凍食品の歴史を記録する「冷食ことはじめ事業」で、昭和20年代から業界を切り開いてきたひとたちを取材した。まだ100年ほどしか歴史のない食品に夢を託し、事業を育ててきた経営者たちの熱意に触れ、この世界に引き込まれた。
「冷凍食品はメーカーが衛生的な環境で、鮮度のいい食材を使い、手間暇をかけて作っている。だから手抜きではなく、手間抜き食品なんです」
家庭が手を抜いているのではなく、メーカーと手間を分け合っているようなものなのだ。この言葉を山本さんは10年にわたって言い続けてきた。それを聞いた人は「ホッと安心してくれるのよ」と、笑顔で話す。それでも、冷凍食品を使うことに腹を立てるひとは、いまだにいるという。
なぜ食事だけ効率化=手抜きが許されない?なぜ女性だけ?
少し前に『じゃあ、あんたが作ってみろよ』というドラマが流行ったが、あの世界が実際にあるのだという。
「料理を作らない人が、作る人に甘えすぎているんですよね」と山本さん。
「男女の就業率の差は10%ないくらいまで縮まってきているのに、夫婦の家事労働時間は男女比で1対5くらいだと言われています」
実際、総務省の「労働力調査」によると、2025年平均の15〜64歳の就業率は男性84.6%、女性75.3%で、その差は9.3ポイント。一方、2021年の「社会生活基本調査」では、1日あたりの家事関連時間は男性51分に対して女性3時間24分と、女性が男性の約4倍に上る。6歳未満の子どもがいる夫婦でも、夫の1時間54分に対して妻は7時間28分だった。
「洗濯は全自動、掃除はロボットまでやる。なのに、食事だけは手作り最高と思われている。仕事は効率的に、AIを使えと言われる時代に、なぜ料理だけ手をかけろと、しかも女性だけに強いられてるのか」
短時間でおいしくできる便利な冷凍食品もあるのに、それを使わないっていうのは、おかしい。あと、冷凍食品が悪いものっていう人も、実際に冷凍食品を食べてみたら、「あ、こんなにおいしいんだ」と、イメージは変わってくる。


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