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企業が「誰かを応援したい」と考えること自体は、悪いことではない。むしろ社会的な意義もある。しかし、その善意が必ずしも消費者に歓迎されるとは限らない。
2026年7月29日、牛めしチェーン「松屋」を展開する松屋フーズが、とんかつ専門店「松のや」で「ママ応援企画」と題したキャンペーンを発表した。15歳以下の子ども連れを対象に、通常価格690円のロースかつ定食を500円で提供するクーポンを配るもので、9月2日までの約1カ月を予定していた。
ところが、告知が広まるとすぐにSNSで「なぜ対象が母親に限られるのか」「父子家庭はどうなるのか」といった疑問が噴出。なかには、「ママ」とは誰を指すのかや、店頭で対象かどうかを確かめるスタッフの負担を心配する投稿も交じっていた。
松のやは、その日のうちに公式Xで「配慮が足りない部分があったこと誠に申し訳ございませんでした」と謝罪し、企画名を「夏休み企画」に改めて、対象を全員に広げることとなった。
そして名前が変わると、SNSには「好感度バク上がり」「謝らないでください」といった投稿が並んだ。発表から鎮火まで、わずか一日。結果だけを見ると、炎上にうまく対応したようにも思えるが、そもそも燃えないほうがいいのも事実。瞬間的に燃え上がったあの騒ぎは、何だったのか。
「書いてあるだけ」になっていた企業メッセージ
「取ってつけたように『ママ応援』と言われても、という違和感だと思います。松のやといえば、手頃な価格で美味しいとんかつが食べられるお店ですよね。それなのに、急に『ママ応援』と言われても、なぜママなのか、その理由と文脈が見えない。だから、『とんかつを売るために後から付けたメッセージなのでは?』と感じてしまったのでしょう」
そう話すのは、共感ブランディングを提唱するブランディングの専門家・松下一功さんだ。


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