前島さんがこの店に見ているのは、一つの新メニューの成功だけではない。むしろ、その先にあるうどん業界そのものの変化だ。
「ラーメンで起きてきたことが、うどんの業界でも起こるんじゃないか」
「ラーメンは結構成熟している業界なので、新しいものを生み出すのが難しくなっていますよね。うどんは、まだまだ可能性があるんじゃないかなと思っています」
ラーメンの世界では、スープの種類や製法、麺、具材、提供スタイルなど、さまざまなイノベーションが起きてきた。ご当地ラーメンから創作系、淡麗系、濃厚系、汁なし、つけ麺まで、多様なジャンルが生まれ、職人それぞれの個性が店の価値になってきた。
前島さんは、それと同じことがうどんでも起こるのではないかと考えている。
「ラーメンで起きてきたことが、今度はうどんの業界でも起こるんじゃないか」
その可能性を、前島さんは「油うどん」という形で提示した。
こんさんも、うどんにはまだ伸びしろがあると考えている。
「うどんのいいところは、互換性の高さにあると思います」
お茶漬けうどん、カルボナーラうどんなど、ご飯やほかの麺で食べて美味しいものをうどんに置き換えても、意外と成立するので、伸びしろを感じるというのだ。
「ラーメン屋さんと違って、うどん屋さんの評価基準はほぼ『麺』にあると言っても過言ではありません。だからこそ、その麺の美味しさを守りながら、食べ方や味の構成を広げることには、まだ可能性があると思います」
今回の「油うどん」は、その実験の一つでもあるのだ。


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