しかも、ただ茹でてタレと混ぜればいいわけではない。極太麺を茹でてから一度水で洗い、ぬめりを取り、さらにもう一度温める。そうしないと、タレと絡んだときに重たくなりすぎて、麺が持ち上がってこないのだ。
「うどん」と「ラーメン」の絶妙な境界線にある一杯
一見するとシンプルなうどんだが、その裏側ではラーメン店さながらの細かなオペレーションが組み立てられている。「ラーメン的な作り方」というのは、単にラーメンの具材をうどんに乗せたという意味ではなく、醤油ダレ、油、背脂、具材の組み立て方など、味の構成そのものにラーメンの発想を取り込んでいるというわけだ。
「完全にうどんのほうに寄せると、釜玉とかぶっかけみたいになってしまって新しさが出せません。だから、もうちょっとラーメン的なパンチを出したかった」(前島さん)
この絶妙な境界線が、この一杯の個性になっている。
「元祖油うどん」は、まず醤油のしっかりした味が口に広がる。そこに背脂のコクが重なり、かなり力強くまとまっている。ところが、ここにショウガが入ることで後味にはキレが生まれる。濃厚なのに、食べ進めても意外と重たくない。
いか天玉のザクザクとした食感も楽しく、カツオ節が和のダシ感を加えてくれる。生卵を崩せば、さらにまろやかさが増す。具材にはチャーシューではなく豚の生姜焼きを選んだ。ここにも「ラーメンなのか、うどんなのか、よく分からないものを作りたい」という前島さんの遊び心がある。
そして、最後は「追い飯セット」で締める。
残ったタレと具材にご飯を投入し、台湾まぜそばのような感覚で締める。麺を食べ終わってから、ご飯で2度楽しめる構成だ。
「いろんなエッセンスが入っているんです」
前島さんがそう話す通り、うどん、油そば、台湾まぜそばなど、さまざまな要素が一杯の中に共存しているのが面白い。それでも、不思議と破綻していないのが見事だ。


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