「実はうどんとラーメンだったら、食べるときによりワクワクするのはラーメンなんです。うどんを食べるときはどうしても麺や小麦、熟成、塩など細かく分析してしまうんですが、ラーメンはスープのバリエーションがあまりにも豊富なので、細かいことを考えずに楽しめるんです。でも、自分はあくまで『麺』を研究していきたいので、うどん屋のまま死ぬと決めています」
そんなラーメン好きのうどん屋であるこんさんが、前島さんとともにラーメンっぽさを加えた「油うどん」を作るというのは、それだけであまりに興味深い取り組みだ。
インパクトのある味を目指してジャンクな方向性に
二人が試作で目指したのは、従来の汁なしうどんよりも明確にインパクトのある味だった。
「タレを強くしていくと、通常のうどんでは負けてしまいます。でも、どうせやるならインパクトを出しましょう、ジャンクな方向に振りましょう、と」(前島さん)
その結果、完成したのが、醤油ダレに背脂、豚の生姜焼き、いか天玉、カツオ節、ネギ、ショウガ、生卵を合わせた一杯だった。
実際に食べてみると、まず驚くのが麺だ。極太のうどんは、なんとこの日は10分強の茹で時間。日によって9~11分程度の調整を行っている。ふんわりとしたうどんならではの麺の食感が何とも美味しい。
この茹で時間は一般的なラーメンの感覚からすればかなり長い。しかし、ここに今回のプロジェクトの面白さがある。
前島さんは当初、7分程度で提供できないかと考えていたという。提供時間やオペレーションを考えれば、短いほうが当然いい。
ところが、こんさんは納得しなかった。
「こんさんは『絶対に太いうどんを合わせた方が美味しい』と譲りませんでした。『そこまで言うなら』と僕も折れ、麺に関してはこんさんの言う通りにしようと腹をくくりました」(前島さん)
最終的にはオペレーションを工夫することで、10分ほどという茹で時間を実現した。


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