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キャリア・教育

4畳半・ミシン1台・口座残高2158円から始まった挑戦の続き〜「東大卒・外銀勤務」から"刺しゅう屋"に転身した若者の選択

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コスパ時代にあえて"時間のかかる仕事"を選んだ若者の選択は「刺しゅう」でした(写真:北区の刺しゅう屋HPより)
  • 田中 優輝 Take Risk代表・「北区の刺しゅう屋」運営

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東大を卒業し、新卒で外資系投資銀行に入社したものの、待ち受けていたのは人間らしさを失うほどに過酷な日々。さらに「自分でなくてもできる仕事なのでは」と悩んだ田中優輝さんは会社を辞め、“刺しゅう屋”を立ち上げることを決意します。

しかし全くの未経験。家賃7万円の4畳半、最初は25万円の家庭用ミシンで、1日18時間、起きている時間はほとんど練習に費やす日々でした。一時は口座残高が2158円、お金が尽きる不安に押しつぶされそうになりながら、やがて商品が完成。しかし今度はそれを消費者に「届ける」難しさに直面し、SNSでの発信を試行錯誤していきます。結果、初めての注文が入って大歓喜。その感動は何百億円もの数字を見てきた外銀時代では決して得られないものでした。

こうして始動した“刺しゅう屋”、その後の様子を田中さんの著書『東大卒、年収1100万をやめて刺しゅうをはじめたワケ 冷めたまま働きつづける前に』より一部を抜粋し、ご紹介します(2回にわたって掲載します。本記事は2回目です)
1回目:「ああ、東大を出てもこれか」——東大卒・外資系投資銀行で年収1100万円の男性を"刺しゅう屋"へ導いた「人間を忘れた夏」

春、桜の下でまだ1人だった

「帰りを待つわんこ」が500万回再生されて、仕事は明らかに動き始めました。注文が入り、フォロワーが増え、数字だけ見れば、事業は軌道に乗っているように見えました。

でも、1人でやっていると数字は増えても、感情の置き場がありません。1000件の温かいコメントがあっても、1件の悪いコメントが、画面の端に刺さった小さな棘(とげ)のように残る。

うれしいことも、怖いことも、全部、自分の胸の中で処理するしかありません。

仕事は動いていました。数字は右肩に上がっている。でも、うまくいったことを一緒に喜べる人も、うまくいかなかったことを一緒に考える人も、そこにはいませんでした。

「帰りを待つわんこ」のInstagram(画像:「北区の刺しゅう屋」Instagram@kitaku_shishu_officialより)
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