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キャリア・教育

4畳半・ミシン1台・口座残高2158円から始まった挑戦の続き〜「東大卒・外銀勤務」から"刺しゅう屋"に転身した若者の選択

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コスパ時代にあえて"時間のかかる仕事"を選んだ若者の選択は「刺しゅう」でした(写真:北区の刺しゅう屋HPより)
  • 田中 優輝 Take Risk代表・「北区の刺しゅう屋」運営
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通知が来るたびに、少し身構えるようになりました。

良い反応か、悪い反応か。何百万人に届いたとき、その中に1人でも強い言葉を投げる人がいれば、それが記憶に残ります。

1人でやっているときの孤独は、誰もいない静けさではありません。音はむしろ多い。コメントも通知も注文も鳴ります。でも、その音を一緒に聞いてくれる人がいない。

そこが、思っていた以上にきつかったのです。ある春の夜、桜の写真を撮ってインスタのストーリーズにあげました。1行だけ、「来年は、仲間とここに来たい」。

軽く書いたつもりでしたが、かなり重い本音でした。

田中 優輝(たなか・ゆうき)/1999年秋田県生まれ。東京大学経済学部金融学科卒業後、外資系投資銀行に入社するも約9カ月で退職。 2024年、株式会社Take Riskを創業。「北区の刺しゅう屋」を立ち上げる。刺しゅうもアパレルも未経験のまま、 家賃7万円の4畳半とミシン1台から製作を開始。世界的なブランドに育つまでの挑戦と過程をSNSで発信し続けている(画像:「北区の刺しゅう屋」Instagram@kitaku_shishu_officialより)

速く走るほど、景色を見失う

4畳半で始めた仕事が、今は5人で3つのブランドを動かす仕事になりました。

1人のころは、全部を自分で決めていました。誰にも説明しなくていい。戻す必要もない。速さだけで言えば、そのほうが速い。でも、1人で高速道路を走り続けていると、窓の外の景色がだんだん見えなくなります。どこへ向かうかより、いかに速く進むかが先になるからです。

新作のコンセプトを、今はみんなでじっくり話し合います。一見すると、遠回りです。でも、誰かの一言が、自分だけでは見えなかった方向を開くことがあります。

アイデアは誰が出してもいい。そこから話して、削って、最後に私が煮込んでいく。時間をかけることが、深さを生むことがあります。

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