「大団円」とは演劇や小説などの終盤ですべての登場人物がそろい、物語がめでたく、円満に終わる結末を指す。リニア中央新幹線の工事においても、大団円といえる出来事があった。
静岡県は7月18日、南アルプストンネル静岡工区において着工の前提となる「自然環境保全協定」をJR東海と締結した。本来ならこの協定は2017年に結ばれているはずだった。9年におよぶ議論を経て、協定締結により、晴れて工事着工の段取りが整った。
まだ着工すらしていないのに大団円とは何事かという異論もあるだろうが、締結式の会場となった県庁には、これまでの議論の当事者たちがずらりと顔をそろえた。その結末としては、まさに大団円という表現がふさわしい。
「水資源」めぐる問題が長期化
リニア工事は2014年に国が認可し、品川―名古屋間の各地で建設が始まった。南アルプストンネル静岡工区は2017年に工事契約が完了した。JR東海としては契約完了から速やかに着工したいところだが、当時の知事だった川勝平太氏が、トンネル掘削に伴う湧水が他県に流れ出て大井川の水量を減少させる、トンネル工事が南アルプスの生物多様性に悪影響を与えるのではないかと批判した。
県はとくに必要があると認めるときは、事業者が工事着手前に自然環境の保全のために必要な事項を内容とする「自然環境保全協定」を県と締結することを条例で定めている。県との間で協定が結ばれないと、工事には着手できない。

