また、JR東海と流域10市町の間でも地域振興に関する確認書が取り交わされた。JR東海はリニア開業後に静岡駅、浜松駅における「ひかり」の停車本数を増やす方針を打ち出しているが、それ以外にどのような取り組みが行われるのか、関係者の間で期待と不安が交錯している。
水資源問題では足並みがそろっていた流域市町も、地域振興への期待に関しては温度差がある。掛川市の久保田崇市長は「掛川市はこの流域の中で唯一新幹線が止まる駅を有しているので、ひかり号、こだま号の増便に大きく期待している」、牧之原市の杉本基久雄市長は東海道新幹線が静岡空港の真下を通ることを踏まえて、「空港新駅について県からJRや国に働きかけ、実現させていただきたい」と大きな期待を示した。
静岡リニア「地域振興」探るフェーズに
一方で、袋井市の大場規之市長は「かなり心配をしている。通過客といえどもリニアに流れると、東海道を通る人が減るわけで、JRと力を合わせて地域振興に取り組んでいく必要がある」、吉田町の田村典彦町長は「新幹線や東海道線に面していない町もある。個別の問題になると、なかなか難しい問題が出てくる」と、慎重な声もあった。
静岡市の難波市長も「新幹線の停車本数が地域振興だとは思っていない。仮に10年後にひかりが止まってくれるとしても、十分な観光客、乗降客数がないということが大きな課題である。JR東海に頼るのではなく、我々自身がしっかり地域振興をやらないといけない」と話した。
自治体によって事情が違うなか、JR東海はどのような振興策を打ち出せるか。島田市の染谷市長は「JRが通っている所も通っていない所もさまざまある。広域でやれること、それぞれ単独の市町がJRと盛り上げていくこと、2つある。ともに連携してやっていくことが今回の地域振興のミソではないか」と話す。
協定締結という「大団円」を経て、静岡とリニアをめぐる関係は、地域振興を模索する新たなフェーズへ踏み出した。

