50代の課長が「Z世代に、飲みに誘われたんだよ」と会議室でぼやいていた。周囲の管理職たちは一瞬静まり返り、「え、逆に?」「それ、何かの前兆では?」と妙な緊張が走った。
課長は続ける。「いや、純粋に話したいだけらしいんだ。こっちは体力ないし、財布も寒いし、ハラスメントも怖いしで、どう反応していいか分からなくてさ」。
すると部長が「最近の若手は“飲みベ”が高いらしいぞ」と得意げに言い出し、そこにいた全員が「飲みベって何だ」「そんな言葉あるのか」と騒ぎ始め、そろって複雑な表情を浮かべていた。
近年、若者世代の間で「飲みベが高い」という言葉が使われるようになっています。飲みベとは「飲みに行くモチベーション」の略で、飲み会への参加意欲が高い状態を指します。
かつては「若者は飲み会を嫌がる」「プライベートを侵害される場だ」といったイメージが強かったのですが、2020年代半ばに入り、状況は少しずつ変わってきました。むしろ、Z世代の一部は積極的に飲み会を希望し、上司に「今度飲みに行きませんか」と声をかけるケースも増えています。
この変化は、単なる世代の気まぐれではありません。職場のコミュニケーション構造が大きく変わったこと、コロナ禍で人との関わりが極端に減ったこと、そしてZ世代自身の価値観が影響しています。では、なぜ今、若手の飲みベが高まっているのでしょうか。そして、上司側がそれを素直に喜べない理由はどこにあるのでしょうか。
上司が飲み会を嫌がる理由
まず、管理職側の心理を整理してみたいと思います。
「若手が飲みに行きたいと言ってくれるのは嬉しい。でも、正直、気が重い」
そう感じる上司は少なくありません。

