1歳半になったばかりの長子が、よちよち歩きで近づいてきた。抱っこしてほしくて腕を伸ばすその姿は、今までと同じ「赤ちゃん」なのに、下の子が生まれてから、周囲の大人はつい「お姉ちゃんなんだからね」と声を掛けてしまう。
歩けるから抱っこは後回し、泣いても「ちょっと待ってね」。気づけば、まだ甘えたい盛りの小さな体に役割を背負わせている。
時折、赤ちゃん返りのように泣きじゃくり、ママにしがみつく長子。困った行動ではなく、奪われた安心を取り戻そうとする必死のサイン。年子育児の始まりは、こうした「上の子の揺れ」に気づけるかどうかで大きく変わる。
年子育児で“上の子”に我慢をさせていないか
年子育児は、外から見れば「年齢が近くて仲良く育ちそう」「一度に育児が終わるから効率的」といった明るいイメージを持たれがちです。しかし、実際にその渦中にいる家庭にとっては、想像以上に繊細で、家族全体のバランスが問われる育児形態でもあります。特に、もっとも影響を受けやすいのが「上の子」です。
上の子は、ほんの1歳しか違わない幼い存在です。本来なら、抱っこされたい、甘えたい、泣きたい、わがままを言いたい、そんな欲求が自然に出てくる年齢にもかかわらず、下の子が生まれた瞬間から、周囲の大人は無意識のうちに「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」として扱い始めます。
歩けるからといって歩かされる、泣いても「少し我慢して」と言われる、自分のこともままならないうちから、手伝いを求められる、ということが自然と起こってきます。
「役割が先に与えられてしまう」。これが年子育児の大きな落とし穴です。
そして、年子育児で最も注意したいのは、親側に生まれやすい期待の錯覚から来る声掛けです。
「もうすぐ〇歳なんだからわかるよね」
「赤ちゃんじゃないんだから我慢できるよね」
「お兄ちゃんなんだから手伝ってね」
こうした言葉は、親が意図せずとも口にしてしまいがちです。しかし、実際には理解力も感情の調整力も、まだまだ発達途中です。大人が思うほどわかっているわけではありません。

