しかし、上の子が甘えられない環境が続くと、心の中に「自分は我慢しなければいけない存在」という誤った自己認識が育ってしまいます。これは将来的に自己肯定感の低下や過剰な自己犠牲につながる可能性があります。
だからこそ、意識的に甘えさせる時間をつくることが大切です。
一方、親にとっても年子育児は、体力的にも精神的にも負担が大きい育児です。
下の子の授乳や夜泣き、上の子の赤ちゃん返り、家事、仕事、これらが同時進行で押し寄せます。その結果、余裕がなくなれば、上の子に強く当たってしまうこともあります。
街中やスーパーなどでも、年端のいかない上の子に、まるで夫にでも話しているような口調で文句を言っている母親を見かけることもあります。そんな場面を目にするたびに、母親もまた支援を必要としている立場にあることを感じます。
家族に頼りたいけど、頼れない。少しの時間でもホッとしたい。しかし、渦中にいると支援をどこに求めたらいいのかを調べることすらできない状況もあります。残念ながら、発信しなければ援助が受けられない現実もあります。まずは、身近な人や市区町村の相談窓口に相談することをためらわないでほしいと思います。
「助けを求めること」は、弱さではなく、家族を守るための戦略です。
母親が笑顔でいられることは、上の子にとっても下の子にとっても、何よりの安心材料になるのです。
そして、年子育児は、単に子どもが2人いるという状況ではありません。家族全体のコミュニケーション設計が問われる育児です。
年子育児の「4つのカギ」
この4つのバランスをどう整えるかが、年子育児のカギになります。
特に、上の子の心のケアは後回しにされやすい領域ですが、最優先に取り組みたい課題です。なぜなら、上の子の心が安定すると、家庭全体の空気が驚くほど穏やかになるからです。
この視点を持つことで、年子育児は上の子が我慢する育児ではなく、家族全体で育ち合う育児へと変わっていきます。
上の子の心を守ることは、家族の未来を守ること。その視点こそが、年子育児の核にあると私は考えています。

