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冷たく静まり返った、約3畳の独居房。前編で体験した「奈良監獄ミュージアム」の保存棟は、厚さ15㎝の扉に閉ざされ、天窓からの光だけが救いの、圧倒的な「不自由」を感じる空間だった。しかし、隣接するホテル「星のや奈良監獄」へと足を踏み入れると、その景色は驚くほど変わる。客室の扉を開けた瞬間、あの「3畳の狭さ」は嘘のように消えていた。
独居房10室分の壁をぶち抜いたスイート、そこに漂う"贅沢さ"
客室タイプ「The 10-Cell」はその名の通り、かつて受刑者を隔てていた独居房の壁を、10房分もぶち抜いて連結させたスイートルームである。
壁材を剥がし、むき出しになった赤レンガ。高さ約3.5メートルのアーチ状の天井。新たな構造を支える鉄柱が随所に通っている。息苦しさを感じた壁は取り払われ、横に長く贅沢な空間としてつながっていた。
例えるなら、寝台特急のスイートルームが近いかもしれない。
煉瓦の壁、高い天井、洗練された家具……。あまりの居心地の良さに、ここがかつて監獄だったという事実を忘れそうになる。

