ウェブ検索も生成AIも、「目的とする情報を探し、その答えを得る」手段であることは共通している。だが、おそらくこれまで「ググる」のが苦手だった人ほど、生成AIチャットボットの便利さを感じているのではないだろうか。
しかし、少し考えればわかるような事柄や、本来自分で答えを出すべき課題や作業についても、ついついAIチャットボットに尋ねてしまうことを何度か繰り返していると、いつの間にかそれが当たり前になり、自分で調べる習慣が薄れてしまうことにもなりかねない。
そして現在、アメリカでは学生たちの学習習慣に生成AIチャットボットの影響が現れつつあるようだ。
2025年、オクラホマ州のある高校のスペイン語教師は、学生が提出してくる課題の約40%から、生成AIを使って処理されている可能性が疑われるようになったと述べた。
その教師いわく、学生が自ら書いて提出してきたはずのレポートの文章を、本人が読めない例が複数あったという。なかには、文章に「この要約は課題の要件を満たしています。お役に立てれば幸いです」と、あきらかなAIチャットボットとのやり取りがそのまま含まれたレポートまであったという。
また、フィラデルフィアでオンライン授業を行っているある英語教師は、質問を投げかけた学生がいつも『少し考える時間をください」と述べてマイクをミュートにし、数十秒経ってから返答するという不自然な行動を繰り返すようになったと述べている。しかも、そのような場合の学生からの返答は、だいたいいつも微妙に質問の主旨を外したような、説得力のないものであることが多いのだという。
英語教師は、おそらくミュート中に質問をGoogleで検索し、「AIによる概要」として表示された回答を見て返答していると推測せざるを得ないと述べた。そして、学生らに対しAIの使用を禁止しようとしたところ、学生たちはこの教師のオンライン授業を避けるようになったとも語った。
生成AIの功罪
一般的な社会人がパソコンを使って行う作業は、Microsoft Officeに代表されるオフィス生産性ソフトウェアを使い、ユーザーが目的とする書類を作成したり、計算処理をしたり、図表を作ったりして印刷あるいはデジタルデータで回覧するなどしていた。そしてその作業には、依然として人が考える作業が伴っていた。
たとえば会議の議事録を作成するには、議題内容を理解し、出席者によるディスカッションを聞き取って要点を記録し、簡潔にまとめて書き出す能力が必要だった。

