ルペン氏が「自分が大統領に当選したら、バルデラ氏を首相に任命する」と述べたことで、バルデラ氏の政治生命は最低限保障された形だ。最新の世論調査では、第1回投票支持率においてバルデラ氏は34%から38%とルペン氏より高い。RNで2人の候補者が1位と2位を占めていることは極めて心強い。
大統領選まで1年を切ったフランスでは、各政党からの候補者選びが過熱している。マクロン仏大統領率いる中道の再生党(ルネサンス=RE)では、マクロン第1次政権(2017~22年)で首相を務めたエドワール・フィリップ氏(中道右派・オライゾン党)が出馬表明している。さらに、同じ中道右派の共和党(LR)は、党首のブリュノ・ルタイヨー元内相が出馬を表明している。
史上最年少の大統領の可能性も
フランスでは近年、左派よりは右派への支持率が高まっている。一方、左派勢力では中道左派・社会党(PS)が単独指名候補を決めていないが、党第1書記のオリビエ・フォール氏などの名前が挙がっている。また、RNとは真逆の急進左派の「不服従のフランス」(LFI)は創設者のジャンリュック・メランション氏が出馬表明している。
破棄院の判決次第では、ルペン氏がブレスレットを着用したままテレビ番組に出演し、街頭演説を行うことになり、「フランスの大統領選史上前代未聞の恥ずべき状況」とメディアは懸念を示している。
とはいえ、苦労して逆境に耐えてきたルペン氏が引き下がる気配もない。仮にイタリア移民の血を引くバルデラ氏が大統領候補者になった場合は、史上最年少の大統領誕生ということになる。
バルデラ氏を支持する有権者には、バルデラ氏は移民抑制、治安、国民優先、EUからの主権回復という国民連合(RN)の中核路線は維持しているが、経済政策において企業寄り、自由市場重視の中道右派に近い主張を行っていることが好感されている。
地元メディアは、選挙の肝ともいえるバルデラ氏の自由市場主義的な経済政策を支持する有権者が多いと指摘している。
ルペン氏も近年、彼女の路線変更で獲得した支持層である貧困層と、社会的弱者とは相いれない過度の福祉への依存とは距離を置く発言が目立っている。人気取り政策だけでは政権政党になれないジレンマの中で、高所得の退職者、民間企業層、経営者層が支持層としてRNに加わることが期待されているからだが、党内でも議論が分かれるところだ。

