実際のオペレーションはというと、当初は失敗の連続だったそうだ。1号店含めて居抜き物件を利用していたこともあり、既設の5メートル四方のスペースを製菓厨房にして乗り切っていた。3人のパティシエたちが肩をぶつけ合いながら作業するような状態だったという。
「パティシエの現場の声を取り入れながら、少しずつ動線設計が出来上がっていきました」
最後の謎は、1号店の出店場所。本社は兵庫に構えるのに、なぜ関東だったのか。
もちろん関西での出店も検討したが、市場調査のうえ断念したという。その理由は、関西を中心に店舗展開していたある焼肉チェーン店が、同業態のなかで価格、品質、メニューともにズバ抜けていたからだ。
「関西は個人店も含め焼肉文化のレベルが極めて高いんです。ゼロスタートで飛び込むのはリスクが大きかった。まずは市場が大きな関東で実績を積み、ブランドを確立させる必要がありました」
神奈川県川崎市で1号店をオープン
2018年12月。神奈川県川崎市宮前区に待望の1号店がオープンした。開店初日の光景を、梅岡さんはずっと忘れることはできないと振り返る。
「入店されたお客様が、目の前のデザートショーケースを見て『なにこれ……』としばらく固まって動かなくなっておられたんです。驚きと喜びが入り混じった、目をキラキラさせた表情。お会計を終えた後も、すぐに帰らずショーケースをじっとご覧になっているんです。あのお顔がずっと忘れられません」
その後口コミが広がり、待ち時間は最長5時間を記録した。「焼肉×本格スイーツ」という挑戦が、確かな手応えへと変わった瞬間だった。
一方で気になるのが価格設定だ。同店一番人気メニュー「プレミアムコース」は、100分で厳選焼肉を含む106品とデザート&ジェラートビュッフェがついて税込4158円。値段だけ見ると高く見えるが内容を見れば「かなりお得」だ。この価格をどう実現しているのか、後編で紐解く。

