「でも、高齢者の話でしょ」と感じたとしてもおかしくはないが、ご安心を。同じような効果は、若い世代でも報告されているようだ。
勉強が終わったあと、すぐにスマホや別の仕事に飛びつくのではなく、3〜10分だけ目を閉じて静かに座る――。そういった小さな習慣が、数日後の自分の記憶力をそっと支えてくれるというのである。
そののち、どれだけ単語を覚えているかを調べてみたところ、興味深い結果が出たようだ。映画を見たあとの単語よりも、静かに休んだあとの単語のほうが、はっきりと多く思い出されたというのである。
「映画を見ることも休憩の一部ではないか」と思われるかもしれないが、映画を見た場合、新しい映像や物語が次々と飛び込んでくることになる。そのため、覚えたばかりの単語については負担が大きくなってしまうのである。
「静かな起きた状態」を維持するのがカギ
さらにマルティーニらは、若者と高齢者の双方を対象とした別の研究で、「学習の直後に静かに休んだ場合」と「図形のパターンを見て、空欄に入る図形を選ぶマトリックス課題をした場合」とを比較した。
すると、とくに高齢者において、静穏休息のあとで学んだ内容のほうがよく保持されることがわかったのだという。
年齢が上がるほど、新たな記憶は他の情報に押し流されやすくなるため、「学習直後になにもせず座っている時間」がいっそう大切になるということだ。
こうした研究には共通点があると著者はいう。
勉強が終わったあとのわずか数分から十数分を「なにかで埋めるか」、それとも「意識的に空けるか」によって、そののち数十分〜数日を経たあとの記憶の残り方が変わるということだ。
ちなみにここでいう「休む」とは寝てしまうことではなく、目を閉じて、深呼吸をし、思考や刺激をなるべく増やさないようにする“静かな起きた状態”。英語ではwakefulと呼ばれ、「起きているが、休んでいる状態」という意味になる。

