「インバウンド」だけではない、新業態の「狙い」
FANG DREAM COMPANYの代表取締役・内田幸男氏は、海鮮市場 八芳について「市場で食材を選ぶ楽しさと、本格的な飲食店の味を融合した『食のエンタメ』だ」と意気込む。現在、銀座八芳の主要顧客層は8割ほどを占めるインバウンド客だといい、その延長線上で海鮮市場 八芳では日本ならではのしゃぶしゃぶや浜焼きと食材を選ぶ楽しさを組み合わせたわけだ。
今回の業態開発の背景には、インバウンドニーズの変化がある。特に銀座八芳では「和牛」「海鮮」といった特定食材を目的に来店する客も多く、アラカルトニーズが相応にあると感じている。また「日本ならではの体験」に対するニーズも根強い。食材はもちろん、焼いたり茹でたりといった調理体験や、SNSで発信したくなるようなものを念頭に置き、海鮮市場 八芳を開発した。
とはいえ、日本人客を切り捨てているわけではない。内田氏は「日本人のお客様には、気軽に入れるしゃぶしゃぶ・火鍋店として楽しんでいただく想定をしている」と話す。
同店の顧客単価は5000円ほどを見込み、日本人からすると“プチ贅沢”に属する価格帯と言える。ただ、野菜や一部の肉はプレート1枚で300円、牛肉や魚介類も500~600円と、安価に済ませようと思えば済ませられる設計になっているのも海鮮市場 八芳の特徴だ。
しゃぶしゃぶ専門店や鍋系はコースや食べ放題を基本としている店が多く「ちょっとだけいいものを食べたい」というニーズをすくいきれていなかった。「日本初」と謳うセルフしゃぶしゃぶのスタイルは、そうしたニーズに合致していると言える。
自分の好きなものを組み合わせて自己流の一品を作る、という点ではここ数年ブームとなっている「麻辣湯」が真っ先に思い浮かぶ、そこに、食べ放題業態で躍進しているジャンルの「しゃぶしゃぶ」を組み合わせたと考えれば、メインであるインバウンドだけでなく、日本人向けにもそれなりにヒットしそうに思えるが、果たしてどうなるのか。今後に注目だ。

