分析対象データ内の各回答者に対して、モデルスコアを算出し、そのスコアが高い順に並べて上位10%で区切る。その上位層が実際にBEVを買った率を確認すると7.2%だった。全体平均のBEV率は2.3%なので、「7.2%÷2.3%≒3.1倍」となる。
つまり、モデルが「BEVを買いやすい」と判定した上位10%の人たちは、実際にも全体平均の3.1倍の確率でBEVを購入していたということである。なお、上位層と下位層では約11倍の差があった。
発見①:「お金と意識」だけでは不十分
さて結果であるが、第一に注目すべきは、ペルソナA:テック富裕層(18.6%)と、ペルソナC:マンション住まいの高年収層(2.0%)の差だ。
ペルソナCは「先進的で世帯年収1200万円以上」と、新しいテクノロジーに積極的で、経済的にも余裕をもって購入できる層だ。しかしBEV購入確率は2.0%にとどまり、全体平均(2.3%)とほぼ変わらない。モデル上では、ペルソナAの18.6%とは10倍近い差がある。
AとCで大きく異なるのは、「住居形態」と「太陽光発電」の有無だ。
Aは戸建てに太陽光パネルを載せている。Cはマンション住まいで太陽光がない。つまり、マインドや金銭面の問題ではなく、「帰宅後にコンセントに挿せるかどうか」という物理的条件こそが、BEV購入における強い因子なのだ。
ここで興味深いのが、ペルソナD(地方戸建てファミリー)もCと同じ2.0%という事実だ。
Dは戸建て住まいであり、充電環境は整えられる。しかし、太陽光は未設置で、先進性は「ややあてはまる」と中程度。つまり同じ2.0%でも、BEVを阻む壁がまったく異なる。
ペルソナC(マンション住まいの高年収層):購入予算もマインドもあるが、充電できない→「インフラの壁」
ペルソナD(地方戸建てファミリー):充電環境は整えられるが、わざわざBEVを選ぶ動機がない→「動機の壁」
Cには充電環境の整備、Dには太陽光発電とセットにした経済合理性の訴求などといった異なるアプローチが必要なのだ。

