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ヨーロッパ首脳はなぜトランプ氏を持ち上げたのか、緩衝役を買って出た高市首相、ウクライナ・イラン・中国で揺れるG7

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フランス・ヴェルサイユ宮殿で談笑するマクロン大統領夫妻とトランプ大統領(右)(写真:2026 Bloomberg Finance LP)
  • 安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)
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ウクライナ紛争は今でもヨーロッパにとっての爆弾だ。何カ月にもわたる準備の末、「トランプ氏を説得するためにはヨーロッパ首脳が対立していてはだめだ」との認識があった。そもそも、北大西洋条約機構(NATO)のアメリカが同盟国に相談することなしにロシアのプーチン大統領と停戦交渉し、相談も予告もなしにイラン攻撃を行ったトランプ氏へのヨーロッパ首脳の不快感は深刻なものだった。

だが、そのそんな感情を抑え込み、これも単独で対イラン停戦交渉を進めるトランプ氏に対して停戦覚書合意にたどり着いたトランプ氏への賛辞をサミット期間中に送ったヨーロッパ首脳の心の中は複雑だった。

とはいえ、1時間も経済会議に遅れたうえに「ボスが到着」というジョークまで飛ばしたトランプ氏に対し、不快感を示す首脳はいなかった。それより、最終コミュニケのときにイランとの合意についてトランプ氏を3度もマクロン氏は称賛した。

ただ、舞台裏では意地悪なジャーナリストが「トランプ氏に媚びすぎではないか」との質問に対しマクロン氏は激怒し、自らトランプ氏の前でも過去何度も自分の考えを明確に伝え、信念を貫いてきたと質問をはねのけた。結果的にトランプ氏は、ロシア制裁の強化とウクライナへの防空システムの提供を約束した。マクロン氏は、トランプ氏について約束を違えるような指導者ではないと付け加えた。

アメリカとヨーロッパをつなぎとめる「価値観」とは

それでも慎重なヨーロッパ首脳は、アメリカのウクライナ支援復帰後の停戦の行方や、アメリカとイラン協議の第2段階としての核開発計画協議には未知数なものが多いことを認めている。今回、トランプ氏を前に結束を見せた彼らだが、事態は決して安心できる状況にはない。その意味で気まぐれで政策転換の早いトランプ氏との付き合いは続く。そこで見逃せないのは、西側諸国の結束をつなぎとめる価値観だ。

第1期トランプ政権から従事しているホワイトハウスの外交関係者高官の1人は、近年G7の役割が疑問視されていることを問われ「中国は今、世界のGDP(国内総生産)の17%を占めるに至っており、それに対して欧米や日本を合わせても50%を割り込む状況にある。世界の多くの国々は中国に経済的に擦り寄ってはいるが、中国の社会体制に共感を覚える国は非常に少ない。G7が共有する国家体制の価値観は多くの国を魅了し続けている」と述べ、G7の存在感は変わっていないことを強調している。

米中関係は一時ほど悪化していないが、現時点でG7に中国が招待される可能性はない。トランプ政権によるアンソロピック社のAIモデル・ミュトスをめぐる強硬な措置は、G7協議を頓挫させるには至らなかった。西側諸国は、中国の台頭を阻止するために、最も高性能な人工知能モデルを抑制するべく協力すべきだとの認識で、各国首脳と大手AI企業のCEO(最高経営責任者)らが中国を共通の敵とすることで合意した。このように、中国型社会主義はG7加盟国に受け入れがたいことは確かだ。

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