ただし、これが「成長に伴う一時的な負荷」なのか、「収益性をどう維持するかという課題」なのかは、現時点では判断できない。コナズ珈琲は2027年3月期に10店出店・64店を計画しており、先行投資として利益を削っている可能性はある。一方で、ずんどう屋の出店計画は2027年3月期に5店・113店と、むしろペースを落としている。同じセグメントの中でも、2ブランドの局面は異なる。
もう一つ、数字の中に意外な事実がある。トリドールHDの2025年3月期第3四半期決算説明資料では、2024年12月単月の「国内店舗売上ランキング」で、ずんどう屋心斎橋店が1位に掲載されている。1位は、丸亀製麺ではない。ずんどう屋心斎橋店だ。
ずんどう屋は、ラーメン専門メディアで頻繁に取り上げられるブランドではない。経営の打ち手が派手に語られる会社でもない。今回訪れたロードサイド店舗で見えたのも、仕事帰りの客が黙々とラーメンを食べて帰る、日常の風景だった。その同じブランドが、繁華街では、グループの国内店舗売上ランキングで頂点に立っているのだ。
同じブランドの中にある幅
心斎橋という立地を考えれば、インバウンド需要が浮かぶ。実際、決算説明資料も繁華街の店舗が訪日客を取り込んでいると説明している。ただ、それだけで説明がつくのか。訪日客は日本中のラーメン店から選べる。その中で、この店が選ばれている理由は、まだ言葉になっていない。ロードサイドの日常と、繁華街の頂点。同じブランドの中にあるこの幅こそ、ずんどう屋の正体に最も近い場所なのかもしれない。
トリドールは「地域で手応えを見ながら店を育てる」会社だ、という仮説は、数字の上では一定の説得力を持つ。しかし、その成長が利益としてどの程度積み上がっているのかは、まだ見えていない。売り上げを伸ばす力は見えてきた。次に問われるのは、その成長を利益としてどこまで積み上げられるかだ。

