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山梨県上野原市。JR中央本線「四方津」駅の北側の高台に、斜行エレベーターでつながる広大なニュータウンがある。そのまちの名は「コモアしおつ」。1991年にまち開きをした、積水ハウスの分譲住宅地である。
丘陵地ならではの眺望や緑を生かし、ほかにない住宅地をつくる。そのまちなみづくりに大きな影響を与えたのが、景観の設計でも知られる建築家の宮脇檀さんだった。
宮脇さんが重視したのは「自然との共生」と「軸の通った景観形成」だ。その考えのもと、道路や公園、緑道、植栽のあり方が見直され、住民の目線や歩く動線に配慮したまちなみの設計が進められていく。
まちの中に「ガードレールがない」理由
コモアしおつを歩いてみると、さまざまな仕掛けが見えてきた。特に印象的だったのが、道路計画だ。
まちを1周するように曲線を描く外周道路「コモア・ループ」には、ガードレールが見当たらない。街路樹のある歩道は、車道よりも一段高くつくられている。
「道路と歩道の間のガードレールをなくして、歩道を20cm高く上げてつくっています。この高さがあれば、歩道に車が入ってこないでしょう、と。街路樹を植え、歩道を上げることで、景観を維持しながら安全に歩ける道になっています」
こう語るのは、かつて積水ハウスでコモアしおつの開発に携わり、現在このまちで暮らす松田健司さんだ。ガードレールで分けるのではなく、高低差で車と人を分離する。安全のための工夫が、景観を損なわずに組み込まれている。
「宮脇さんは、コミュニティも大切にされていました。道端での井戸端会議や子どもたちが安心して遊べるように道路計画がされています。小学校や公園に続く道は、季節を感じられるように緑道を計画しました」

