こうした取り組みについて、積水ハウスの担当者は、住民による活動の積み重ねがまちなみを支えていると話す。
実は開発から30年以上経った今も、積水ハウスはコモアしおつとの接点を持ち続けている。
24年4月、積水ハウスは上野原市と包括連携協定を締結した。住民が安心して暮らせる環境づくりや、まちの魅力づくりなどに連携して取り組んでいく。
かつて立ち上げたイベントが住民主体へと受け継がれるなど、コミュニティづくりの面での関わりも続いている。最近では、コモアしおつ内の小学校の授業にも携わった。松田さんが先生となり、子どもたちはまちを歩いて歴史や魅力を学んだという。
住民が主体となり、積水ハウスが必要な場面で伴走する。そんな関係性も、まちを次の世代へつなげる支えになっている。
20年の国勢調査によると、コモアしおつ1〜4丁目の人口は3434人、世帯数は1264世帯だった。同じ調査で上野原市全体の人口は2万2669人。人口減少が進む地域の中で、東京へ通勤する人たちの住宅地として開発されたまちは、暮らし続けるまちとして新たな局面にある。
通勤のまちから、暮らし続けるまちへ
松田さんは、その現在地を「端境期」と表現する。
「まちは生き物です。そこで暮らす人がいる以上、良くも悪くもなります。子どもたちが住み続けたくなるまちを残せなければ、まちはすぐに廃れます。今はその端境期です。この地で暮らした恩恵を次の世代にうまく引き継がなくてはならない時期になっています」
フシギさを抱いて見上げた、天空のニュータウン。そこにあったのは、受け継がれてきたまちなみと、それを次の世代へどう引き継ぐかを考える人たちの姿だった。

