窪田:それを知らずに「とにかく早く始めた方がいい」と考えてしまうご家庭も多そうですね。
西村:多いですね。「小さい頃からエリート教育を詰め込まなければ」という考え方は正しくありませんし、かえって子どもを追い詰める結果になりかねません。
教育改革と「探究型学習」の重要性
窪田:近視の研究の文脈でも、教育改革との関係はとても興味深いんです。中国では2018年から、子どもの近視対策の一環として大規模な教育改革が行われました。
西村:どのような改革だったんですか?
窪田:「詰め込み教育」から方針を転換し、テストの回数を制限し、長時間の机上学習を見直したんです。すると、全国的に成績が下がってしまった。ところが、唯一成績が下がらなかった地域があって、それが香港なんです。
西村:香港は何が違ったんでしょう?
窪田:香港はもともと探究型の教育方針を採用していて、課外活動やアクティビティを非常に重視していました。その結果、子どもたちに臨機応変に対応できる力が育ち、テストの形式が変わっても成績が維持されたんです。
西村:なるほど。「考える力」が土台にあったんですね。
窪田:今では中国全土でその方針が広がり、外遊びの時間を増やし、長時間の机上学習を減らしても、総合的な知力は上がるというポジティブな変化が起きています。日本もゆっくりですが、同じ方向に変わりつつあると感じます。
西村:小学生と中高生では、頭の働きがまったく違います。小学生は過去に収納された情報量が少ないため、新しい知識と既存の知識がつながりにくい。では、どこにつながるかというと「身体感覚」なんです。
窪田:身体を使った経験と新しい知識が結びつくことで、深い理解が生まれるということですね。
西村:まさにそうです。だからこそ、指導する側も「身体感覚と学びの関係」を強く意識する必要があると、最近特に感じています。
窪田:現代の受験生の日常はかなりデジタル漬けになっていますよね。外遊びの減少やデジタル漬けの日常について、先生はどのようにお感じですか?


※ログイン後、コメント入力が可能です。