ただし、「明日から売ります」とはいかない。今回の発表は厳密に言えば「ミクニ内でFC後期・FD前期用メタポンの新規設定を検討開始」だ。新規設計・新規金型からのスタートとなるため、純正部品としての各種試験や認証も含めると2年程度の時間がかかる見込みで、価格も現行FD後期用(約16〜17万円)より高くなることは確実だという。
それでも社外サードパーティではなく、メーカー保証の付いた純正部品として少量生産で復活するという話は前代未聞だ。絶版部品は「サードパーティが似た部品を作る」ことはあっても、メーカーが責任を持って保証する純正品として別のサプライヤーが新規生産するケースは前例がないのではないだろうか。マツダという会社がかつて世に送り出したクルマを文化として継承する責任を担おうとしている姿勢と、ミクニがその思いに応える姿が、これを実現させようとしている。
メーカー主導ではない、ファンミーティングだからできること
こうした動きを俯瞰すると、ひとつのことが見えてくる。軽井沢での新色発表、OBの本音トーク、榛名でのメタポン復活宣言――と、これらはマツダが主催するプレス発表会では絶対に生まれない種類の出来事だ。
感度が高く発信力のあるコアユーザーが集う場だからこそ、情報はSNSや口コミで瞬く間に広がる。ファンミーティングへの参加は、開発やマーケティングの方向性を探る場としても、情報を効果的に届ける発信の場としても、マツダにとって非常にありがたいステージが与えられたと言える。
ただし、こうした関係が成り立つのはコアファンのみが所有するスポーツカーというジャンルだけの話、という見方もある。たしかにそうだ。しかしロードスターや古いロータリー車を大切に乗り続けている人の多くは、もう1台の実用車を持っていることも多い。そしてそのもう1台をマツダブランドから選ぶ人が多いのも事実だ。コアファンを大切にすることはブランド全体の支持者を育てることにつながっており、決して狭いマーケットへの話だとは言えない。

