W杯を制するということ
W杯で優勝するために、必要な試合数は8。
グループステージで3試合を戦い、決勝トーナメントの5試合を勝ち抜く(32カ国で争われた前回大会まではトーナメント4試合)。数字だけ見れば、シンプルな話に思える。
しかし、その8つの勝利をつかみ取るために必要なのは、代表選手や監督、スタッフといった関係者の努力だけではない。国全体が、途方もないほどのエネルギーを絞り出す必要があるのではないか。そう思わされる出来事があった。
前回のカタールW杯。アルゼンチン対フランスの決勝戦は3対3のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦へもつれ込んだ。この歴史的な一戦を制したのは、アルゼンチンだった。キャプテンのリオネル・メッシがトロフィーを掲げたのは、マラドーナが伝説となった1986年以来、36年ぶりのことだった。
優勝後、アルゼンチン政府は代表チームが優勝パレードを行う日を急遽、祝日にすると宣言した。国民の熱狂ぶりはすさまじく、ブエノスアイレスの中心部で優勝パレードが始まると、街には400万人以上のファンが殺到し、選手を乗せたオープンバスは、予定していた30キロのルートを3時間かけても10キロしか進めなかった。
オープンバスに飛び乗ろうとするサポーターも表れ、安全の確保を優先するために選手たちは急遽ヘリコプターに乗り換え、群衆の頭上を飛び去ることになったほどだ。
