真面目で責任感が強いと、自分に与えられた役割をきちんと果たし、周囲の期待にできるだけ応えようとする。とくに、昇進して、部下が増えたり、裁量権が大きくなったりすると、その分頑張らなければという心理が働きやすい。しかも、責任も重くなるので、どうしても肩に力が入ってしまう。
その結果、真面目な人ほど頑張りすぎてしまうわけだが、必ずしもうまくいくとは限らない。というのも、昇進すると自分の判断や選択によって動かせる範囲が広がるものの、同時に自分の力だけではどうしてもコントロールできない局面にぶつかる機会も増えるからだ。
いくら自分が頑張ったからといって、部下が自分の思い通りに動いてくれるわけではない。自分の頑張りに比例して業績が伸びるわけでもない。
なかには、上司である自分の指示に従わず、我流で仕事を進める部下もいるだろう。そのせいで問題が起きると、上層部から叱責されることだってあるかもしれない。
すると、自分は役割をきちんと果たせていないと感じ、「自分はダメだ」と自分自身を責めるようになる。おまけに、「こんなことではダメだ。何とかしなくては」という焦燥感からさらに頑張ろうとする。
「転勤」や「引っ越し」も、うつの危険因子に
何でもそうだが、焦燥感が強いと空回りして、うまくいかないことが多い。その結果、「自分はダメだ」という自責感が強くなり、夜眠れなくなる。やがて気分が落ち込み、意欲も低下する。
「こんなに頑張っているのに」という思いが強いほど、自分の頑張りが報われないことへの徒労感と悔しさが募る。ときには、出勤しようとすると動悸がしたり、吐き気を覚えたりする身体症状が出現することもある。
転勤を契機に発症する「転勤うつ」も同様の経過をたどることが多い。必ずしも昇進を伴うわけではないが、新しい部署に配属になり、新たな人間関係も始まる。そのため、真面目で責任感の強い人ほど「新天地で認められたい」という気持ちから張り切り、どうしても頑張りすぎてしまう。
新しい職場環境に適応するのに時間とエネルギーを人一倍費やすわけだが、新たに人間関係を築くのも、前の部署と微妙に違う仕事のやり方に慣れるのも結構大変だ。昇進した場合と同様に、自分は役割をきちんと果たせていないと感じることもあるかもしれない。
それに転居が加わると、うつになるリスクが一層高まる。「引っ越しうつ」という言葉もあるくらいで、慣れ親しんだ住環境から離れて、新しい住環境になじんでいくことはうつのリスク・ファクター(危険因子)の1つになりうるのだ。
