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「圏外」を救うStarlinkが稼ぐ巨額マネー、SpaceX上場で見えた"ロケット企業ではない"実像とAIへの大賭け

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地球低軌道で衛星を放出するStarship
地球低軌道で衛星を放出するStarship。SpaceXは約9600基の衛星網で世界の通信を支える(写真:SpaceX)
  • 石井 徹 モバイル・ITライター

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山の中や海の上で、スマートフォンが「圏外」から突然つながる。そんな体験をした人が、この1年で増えた。専用のアンテナを使わず、手持ちのスマホがそのまま上空の衛星につながる、衛星とスマホの直接通信サービスだ。

KDDI(au)、ソフトバンク、NTTドコモの大手3社がこのサービスで共通して使うのが、米SpaceX(スペースX)の衛星通信網「Starlink(スターリンク)」だ。私たちの足元の通信インフラに、すでにSpaceXは深く入り込んでいる。率いるのは、テスラの創業者で、SNS「X」の所有者でもあるイーロン・マスク氏。資産規模で世界一とされる富豪だ。そのSpaceXが、いよいよ株式市場に登場する。

同社は2026年5月20日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の登録届出書「フォームS-1」を提出した。早ければ6月中旬にも取引が始まる可能性があるが、SpaceX自身は日程を確定していない。上場先は米ナスダックで、銘柄コードは「SPCX」になる。

報道ベースでは評価額1.75兆〜2兆ドル(約270兆〜310兆円)規模、調達額は最大750億ドルとされ、実現すれば史上最大のIPOとなる。だが今回のS-1で初めて公開された財務の中身は、規模の大きさ以上に、SpaceXという会社の正体が「ロケット企業」から大きく変わりつつあることを映していた。

ロケットが生んだ「競合なき」通信網

Starlinkは、空が見える場所ならどこでもWi-Fi並みの高速インターネットを使えるようにするサービスだ。光ファイバーや携帯基地局が届かない山間部や離島、走行中の車や航行中の船でも、専用アンテナを置けば数十〜200メガビット毎秒の通信が得られる。

これを成立させたのが、SpaceXの再利用ロケットだ。打ち上げた後に地上へ帰還し、再び使えるロケットで打ち上げコストを大幅に下げ、低軌道(地上約340〜550キロ)に小型の通信衛星を大量に並べる。この高頻度・低コストの打ち上げ能力で、SpaceXは2026年3月末時点で約9600基の衛星を低軌道で運用している。世界で稼働する衛星のおよそ3分の2を、1社で占める規模だ。

Crew Dragonを載せて打ち上がるFalcon 9。帰還・再利用で打ち上げコストを下げた(写真:Joe Raedle/Getty Images)
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