足元でも、米テネシー州などでギガワット級の巨大なAI学習施設「COLOSSUS(コロッサス)」が稼働中だ。さらにTesla(テスラ)、Intel(インテル)と組んだ半導体の自製構想も掲げる。AIの競争は最終的に電力と半導体という物理的な要素で決まる、というのがマスク氏の見立てだ。
計算能力を競合にも売る
注目されるのは、SpaceXが自前で築いたAIの計算能力を、自社で使うだけでなく外部にも売り始めている点だ。
S-1によれば、同社は2026年5月、AI開発の米Anthropic(アンソロピック)とCOLOSSUSなどの計算能力を提供する契約を結んだ。契約額は2029年5月まで月12億5000万ドル規模にのぼる。ただし90日前の通知で解約でき、マスク氏は「実質180日の契約」と説明する。長期に確定した収益とは言いにくい。
しかもAnthropicは、対話型AI「Claude(クロード)」を開発する会社で、SpaceXのGrokとは真っ向から競合する間柄だ。競合に計算資源を貸してでも、巨額の設備投資を回収しにいく姿勢がうかがえる。自社のGrokを鍛えながら、余った計算能力は競合にも貸す。AIへの巨額投資を、製品とインフラ販売の両面から回収しようとする構えだ。
