ある経済主体が「生産」や「消費」などの行動を起こした際、その取引に参加していない「第三者(他者)」に対して、意図せず不利益(コスト)を与えてしまう現象のことを外部不経済(負の外部性)という。公害を考えればわかりやすいだろう。
例えば、工場が製品を「生産(行為)」する過程で排気ガスを出し、周辺住民が健康被害という「不利益」を被るケースがこれに当たる。
産業活動につきまとう「外部不経済」
このように考えると、産業革命以降の人類の生産活動は外部不経済をつねに伴ってきたと言える。産業革命の牽引力となったのは蒸気機関だが、その燃料源として用いられた石炭の燃焼の結果、大量のススが大気中に放出され、ぜんそくや肺がんなど住民の健康被害をもたらした。イギリスではその地に生息する白色の蛾が黒く自らの体色を変えるほどであったという。
1970年代にモータリゼーションが進む中、工場や自動車などから排出される大気汚染物質(硫黄酸化物や窒素酸化物)が雨水に溶け込むことにより、酸性雨が発生した。酸性雨は森林の白枯れや建築物の侵食など多方面に被害をもたらした。
日本でも水俣病やイタイイタイ病など、生産活動の結果生じる廃棄物を適切に処理せずに環境に放出することで生じさせられた公害病の事例は枚挙にいとまがない。
このような外部不経済が生じる理由は2つある。1つには行為者が自身の行為に伴う廃棄物の存在や、その有害性に気づいていないためである。もう1つは、行為者が生産物の価格の最小化を図ろうとする結果、廃棄物の処理にコストを掛けなくなるためである。
前者はやむをえないと言えるが、後者は廃棄物の有害性に気がついた後にも継続することがあり、その責任は重い。他方、後者は消費者がより安価に商品またはサービスを得ようとするためでもあるから、消費者にも責任があるといえる。
