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なぜ日本がレアアースで中国に負け続けているのか、最大の敗因は「価値ある資源」のトリウムの放置だ

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カリフォルニア州マウンテンパスのレアアース鉱山。一度閉山されたが再稼働された(写真:David McNew/Getty Images)
  • 亀井 敬史 トリウム熔融塩国際フォーラム理事
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もう1つがプルトニウムを使用するもので、プルトニウムは天然には存在せず、ウラン238に中性子を照射して製造する。中性子の照射装置が原子炉だ。原子炉で発生する熱を利用すれば、発電用原子炉になると考えていた。

ところが当時はウランの資源量はわずかしか確認されていなかった。代わりに大量に確認されていた物質がトリウムだ。トリウムそれ自体は核分裂を起こさず、核兵器にもならないが、原子炉で中性子を照射するとウラン233となり、これが核分裂を起こす。すなわち、トリウムは、もともと核兵器への活用の一貫で研究されていたのだ。

このこともあり、アメリカではモナザイトなどを採掘し、トリウムを国家備蓄していた。レアアースはどうか。今でこそレアアースはハイテク産業に不可欠な元素として活用されているが、これはさまざまな元素の混ざるレアアースを単離できるようになったからだ。

トリウムを国家備蓄していた当時、レアアースは元素の混合物であるミッシュメタルとして触媒などにかろうじて用いられていただけだった。トリウムが主産物で、レアアースが副産物だったのだ。

レアアースの活用を高めた「溶媒抽出法」の完成

もう一度、原子力に目を向けよう。1950年代にアメリカで大規模なウランの鉱床が発見された。ウランは原子炉での照射なくしても核燃料・核兵器となる。このため、アメリカでのトリウムの国家備蓄は1959年に終了した。

このときもう一つ大きな出来事があった。「溶媒抽出法」の完成である。上述したようにレアアースは個々の元素に単離することが難しかったが、これを可能とする技術だ。これによりレアアース個々の元素の利活用が進み、1968年にその発色の良さから「キドカラー」と命名された日立製作所のカラーテレビにはユウロピウムが使用された。

レアアースは希土類と言うが、その希土と輝度をかけ合わせたネーミングが心地よい。佐川眞人博士が発明したネオジム磁石は、その名の通り、ネオジムが使用されている。レアアース時代の到来である。しかしこのとき、レアアース製錬の現場では、核燃料という価値を外された放射性物質のトリウムが外部不経済となっていたのである。

ウランの利用は、原子力の視点で見れば、プルトニウムに転換するほうがより効率的に燃料を増やせることから、高速増殖炉の開発が進められていった。しかしアメリカでは1979年のスリーマイル島原発事故、さらには86年当時のソ連のチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故を経て、90年代には高速増殖炉の開発は終焉を迎えた。結果としてプルトニウムが残ることとなった。プルトニウムはウランを利用する限り、さらに蓄積していく。外部不経済だ。

このプルトニウムの蓄積と、トリウムの蓄積とが交差する形で21世紀を迎えた。アメリカではマウンテンパスが2002年に一度閉山した時期に重なる。

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