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なぜ日本がレアアースで中国に負け続けているのか、最大の敗因は「価値ある資源」のトリウムの放置だ

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カリフォルニア州マウンテンパスのレアアース鉱山。一度閉山されたが再稼働された(写真:David McNew/Getty Images)
  • 亀井 敬史 トリウム熔融塩国際フォーラム理事
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他方、中国ではトリウムの蓄積が拡大し始める時期となる。アメリカはトリウムから一度目をそむけたが、中国はトリウムの価値を感じ取った。すなわち、余剰のプルトニウムを活用することでトリウムを有価物化し、トリウムの処理が単なるコストにとどまらないようにできると判断したのだ。外部不経済の内部化である。

中国がどのようにトリウムに向き合っていったかは今回は触れないが、現在、中国はトリウム溶融塩炉を開発し、実験炉を稼働させていることだけは触れておきたい。

むろん、トリウムの利用や新たな原子炉の開発が一足飛びに進むわけではない。鍵となるのはトリウムに有用性を認め、備蓄することだ。備蓄することで、環境に不用意に放出され汚染させることは回避できる。

市場に価値が現存しない限り、レアアース製錬業者にトリウム備蓄の費用負担を求めることは難しい。市場原理に従えば、このコストを製品価格に転嫁すれば中国との価格競争力を持てないのは上述したとおりだ。

日本こそトリウムの備蓄を進めるべき

だからこそ、トリウムの備蓄を日本の責任において実施すればよい。それを「トリウム銀行」と名付けたい。将来の有価物化を見越しているからだ。

2010年の最初のレアアースショックが起きたとき、当時の近藤洋介経済産業政務官は、当時のテレビ番組でこう述べている。「円高で海外の資源の山を買うことは今までより安くできる。そういうことも含めて戦略的に考えないといけない」。

上述したように、レアアース資源を買えるからレアアースを入手できるのではない。トリウムにコストを掛けて内部化するだけでなく、これに価値を付与して利益をえなければ、もはや中国に勝つことはできない。

26年5月17日のNHKスペシャル「レアアース覇権の正体を追う」では、赤澤亮正経産相はこう言っている。「なぜ特定国にここまでレアアースを依存する状態、これまで放置してきたのか。わが国が自律性を確保できるようにきちっとやっていかなきゃいけないと思いますね」。

ここまで放置してきたのは、16年以上にわたって問題の本質、すなわちトリウムの利用に目を向けなかったからだ。目を向けたとしても「原子力はウランの利用で進めているから」と一部の視点にとどまったからだ。

レアアース覇権の正体は、トリウムという外部不経済に目をつぶり、環境汚染を広げているからではない。トリウムの有用性に気づいただけでなく、プルトニウムの消費、使用済み核燃料の処分負担の軽減、二酸化炭素排出量の削減さらには日本製鋼所に依存しない原子炉(溶融塩炉)の開発によるエネルギー覇権の獲得までを見据えた壮大な国家戦略そのものだ。

その俯瞰的な視野を持てない限り、日本が今後、エネルギーや産業の安全保障を確保できることはないだろう。

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