クルマに対して私が求めるものはいつの間にか変わっていった。かつてはエンジンの鼓動やステアリングに伝わる道路の感触、ドライバーの操作に対するクルマの反応を楽しむことが最優先で、スポーティーなクルマには心を強く動かされるのが常だった。
けれども、今は友人や家族を乗せ、趣味の道具を積み、目的地まで安全かつ経済的に移動することに重きを置くようになった。年齢を重ねたということもあるが、2拠点生活を始めたことで東京湾岸部と山梨県央との往復300km以上の走行を月に2度ほど行うようになったことが大きい。クルマに対して求めるものがドキドキワクワクより、肉体的、心理的、経済的な負担軽減になった。
ロングクルーズに適したクルマは「グランドツーリングカー(GT)」とされる。一般には大排気量エンジンを積んだクーペや高級サルーンを指す。まさに私がかつて好んだようなクルマである。しかし、前述したように現在の私にとっては速さや華やかさより欠かせないことがある。
視界がよく、静かで、多くの荷物が積めて、燃費や航続距離に不安のない、トラブルが少ないといった信頼性がより大事。安全と疲労軽減のために安心して使える先進運転支援機能(ADAS)は特に重視するようになった。そんな、極めて個人的な価値観を基に「現代のGT」候補の試乗レポートを『自動運転前夜のグランドツーリングカー選び』としてお届けしたい。
ADASは文字通り「支援機能」であり、「自動運転」ではない。一方で、あくまでドライバーの責任においてではあるが、高性能なADAS搭載のクルマは交通や天候の条件が良ければ、自動運転に近い機能を発揮する。
結果としてドライバーの緊張をどの程度和らげてくれるのかがポイントになる。試乗では時間も距離も制約があり、システムで対応できない状況を細かく評価することはできない点は留意頂きたい。
スバル「フォレスター」、COTY受賞の実力は
前置きが長くなってしまったが、第1回に選んだのはSUBARU(以下スバル)の「フォレスター」。2025-26年日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を受賞した、長距離巡航とADASの実力を確かめるにはふさわしい1台だろう。
安全性と実用性を看板に掲げてきたスバルの主力SUV(スポーツ多目的車)は、現代のグランドツーリングカーたり得るのか、その答えを探るため、東京都心から軽井沢周辺を往復した。
